Java 2 Micro Edition(J2ME)をベースにつくられたMIDP標準は、Sunと20社以上の携帯電話関連企業が共同で開発したもので、ソフトウェアを電話機にダウンロードするための標準を携帯電話業界に提供することを目標としていた。
ところが、すぐに分裂の問題が浮上した。MIDPの初期のバージョンは搭載する機能に制限があり、携帯電話機メーカーが3Dゲームなどを追加しようとした場合、独自の仕組みを携帯電話に組み込む必要があった。そのため、たとえばMotorola製の携帯電話向けに開発された3DゲームはNokia製携帯電話ではうまく動かないといった事態が生じた。
その一方で、ハードウェアメーカー各社は多種多様な携帯電話機をつくるのに忙しく、それぞれ独自のデザインを追求していた。巨大画面と超小型ボタンを搭載する機種もあれば、その正反対もあった。そのため、アプリケーションメーカー各社は、微妙な差異を考慮に入れなければ製品の対応範囲が大幅に狭まるというリスクを負う状況に置かれてきた。
簡単に言うと、このことはアプリケーション開発者が各機種ごとに何らかの修正を加えなくてはならないことを意味する。1つのソフトウェアについて複数のバージョンを開発しようと思えば、何カ月分もの追加作業が生じる可能性がある。
「エンターテインメント用アプリケーションでは、(追加作業に)最大で9カ月もかかる場合がある」というのはIBMのCraig Hayman(通信事業者向けマーケティング担当バイスプレジデント)だ。「だが、携帯電話の市場では、9カ月も経てば新しいモデルが登場してしまう」(Hayman)
SunやNokiaをはじめとする他の企業各社は、いまでもこの問題の解決を図ろうとしている。MIDPは現在バージョン2になっているが、このバージョンでは顧客がほしいと考えそうな携帯電話の機能にすべて対応していることから、プロプライエタリなソフトウェアを必要とすることは少なくなるだろうと、Chuは述べている。
またChuによると、さまざまな機能を連携させるための複数の方法について標準化を図ろうとする動きも進められているという。この「Mobile Service Architecture(MSA)」という標準案には、MIDPを補完する意味合いがあると、同案を支持する端末メーカーやキャリア各社は説明している。
しかし、この問題がすぐに解決することは期待できそうもない。
「MIDPについては、それを問題ととらえることもできるし、あるいは今のところは驚くべき進歩を遂げていると見ることも可能だ」とSevenのバイスプレジデント、Jason Guesmanは言う。カリフォルニア州レッドウッドシティにあるこの携帯メッセージング専門企業は、Research in MotionやGood Technologyなどと競合している。「Javaのおかげで、いまでは99ドルの電話機でもびっくりするようなことが可能になっている。しかし、『一度書けばどの環境でも動く』という状態には程遠い」(Guesman)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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