天体物理学者のLaurance Doyleは、人々が地球以外の星を発見するのを支援する取り組みを開始した。同氏は、星を探す過程において、子どもたちが科学や数学を面白いと思うようになって欲しいと願っている。
米国の子どもたちは、理科の学力調査で過去最低のスコアをとり、他国の子どもたちに後れをとっている。そのため、この国からは今後、将来の方向性を示す指導者や、天文学などの分野における発見を成し遂げる人は生まれないのではないか、という懸念が生じている。そこでDoyleと非営利団体PlanetQuestのメンバーは、何百万台ものコンピュータの処理能力を利用しながら、人々が新しい惑星や恒星を発見するのを支援するソフトウェアを開発している。
「学生は、自分たちが何を知らないのかを理解する知識さえ、持ち合わせていない。だから、彼らの学問に対する興味や関心も低下している。そこで、地球の共通言語である数学を使って会話することに、学生たちに関心を持ってもらおうと考えた」とDoyleは言った。DoyleはPlanetQuestの共同創設者であり、またSearch for Extraterrestrial Life(SETI)Insituteの主席研究員でもある。
PlanetQuestのソフトウェアは現段階ではまだリリースされていない。同ソフトウェアは、分散型コンピューティングの大規模な実験でも利用されているSETI@Homeプログラムをベースに開発されている。SETI@Homeでは、世界中のユーザーから提供される、デスクトップやワークステーションの未使用の時間を利用して地球外知的生物の探索を行っている。SETI@Homeのウェブサイトによると、既に540万台のデスクトップにSETI@Homeプログラムがインストールされているいう。しかし、地球外知的生物はまだ見つかっていない。
PlanetQuestでも、SETI@Homeと同様に、一般ユーザーが所有するコンピュータ同士を結び、その処理能力を利用する。しかし、PlanetQuestの特筆すべき点は、参加者自身に星を探したり、命名したりするチャンスが与えられることである。銀河系のなかでも、人間によって観測/分類され、その実態が調査されている星は全体のわずか1%だという。そのため、およそ5000〜1万人に1人は、惑星や恒星を発見する可能性があると、PlanetQuestのエグゼクティブディレクターDavid Guteliusは言う。
「(星を発見する)確率は、宝くじの当選確率より高い。それに、参加者全員が星について何らかの発見をする」とDoyleは言う。
ハイテク業界では今、宇宙探索への関心が高まりつつある。宇宙とその関連技術の発展を促すためのコンテストを企画する非営利団体X Prize Foundationは、2005年初め、Googleの共同創業者Larry PageとPayPalの共同創業者でロケット開発企業SpaceXのCEOであるElon Muskを、同団体の役員に指名した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力