先週大気圏外に到達した民間宇宙船SpaceShipOneは4日(米国時間)、2度目の高度100kmの宇宙飛行に成功し、Ansari X Prizeの賞金1000万ドルを獲得した。
CNNは午前8時(米西海岸時間)過ぎに、SpaceShipOneが、賞金獲得に最低限必要とされる100kmを大幅に上回る、高度112km(36万8000フィート)に達したと報じた。
SpaceShipOneは、Paul Allenが出資するベンチャー、Mojave Aerospace Venturesの宇宙船で、地球と宇宙の境界とされる高度100kmに到達する試みのために開発された。SpaceShipOneは先月29日にも高度100kmに到達しており、賞金獲得に必要な2つのステップの1つを完了していた。
Ansari X Prizeは、民間の宇宙観光事業を刺激することを目的として、1996年に始まったコンテストだ。このコンテストでは、高度100キロまでの飛行を2週間以内に2回達成した最初の民間ベンチャーに、1000万ドルの賞金が与えられる。
Mojave以外にも、6カ国から合わせて24チームが参加して、独自の宇宙船開発に取り組んでいるが、Mojaveほどスピーディーな進展は見られていない。こうした宇宙船プロジェクトのコンセプトは、ナチ・ドイツのV2ロケット設計をベースとするものから、巨大な熱気球で宇宙船を打ち上げるといったものまでさまざまだ。
既報の通り、SpaceShipOneが最初の飛行で最高高度に達する直前、想定外の回転を始めたことから、2度目の飛行を疑問視する声が出ていた。同チームは当初この回転を説明できず、原因が設計上の欠陥なのかパイロットのミスなのかは、すぐには判断できなかった。
SpaceShipOneの設計者であるBurt Rutanは2日に声明を発表し、回転は、風などの一般的な大気の影響ではなく、宇宙の境界に達したことの影響によるものだと説明した。このためパイロットのMike Melvillは、飛行機向けに設計された制御装置を使ったが、機体をすぐに安定させられなかったという。
この回転には皆が息を呑んだが、SpaceShipOneは一般人を宇宙に送るための新たなステップを刻んだといえるだろう。英国の実業家Sir Richard Bransonは先週、SpaceShipOneの設計を元にした宇宙船で2007年から一般人向けの宇宙旅行を提供すると発表した。旅行者はBransonの会社Virgin Galacticに20万ドル近い料金を支払えば、大気圏外に到達し、宇宙で無重力を体験できるようになる。
SpaceShipOneのアイディアを思いついたRutanは、この宇宙船の設計に飛行機の概念を利用した。SpaceShipOneよりも機体の大きな飛行機White Knightが、胴体の下にSpaceShipOneを抱いた形で、ロケットエンジンを使って高度約14kmまで上昇する。そこでSpaceShipOneは切り離され、エンジンに点火して必要な高度まで急上昇する。
SpaceShipOneはその後、翼の設定を「羽」モードに切り替えて地球に向かう。この「羽」モードでは翼は畳まれて凧のように機能する。機体が大気圏内のある高度にまで低下すると、翼は元の形に戻り、SpaceShipOneは滑走路に着陸する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」