サンフランシスコ発--Advanced Micro Devices(AMD)は、同社の仮想化技術「Pacifica」の詳細を3月末までに明らかにし、ソフトウェアメーカー各社がこの機能を利用した開発に着手できるようにする。この技術は、コンピュータが同時に複数のOSを実行できるようにするものだ。
Pacificaは2006年にAMDのプロセッサに搭載される予定だが、これは同様の機能を持つIntelの「Vanderpool Technology」(正式名称は「Intel Virtualization Technology」)より登場が遅れることになる。Vanderpool は今年中にチップへの搭載が予定されている。両社の技術が互換性を持つかどうかはまだ明らかになっておらず、一部のソフトウェアメーカーからは開発が複雑化することを懸念する声も上がっている。
AMDのシニアソフトウェアストラテジスト、Margaret Lewisは先週開いた会見のなかで、「Pacificaの仕様は今月末までに公表する。Pacificaとほかの技術仕様との比較に関しては、仕様の公表後に詳しく話す」と語った。
この会見に参加した一部の人々は、このような言い方に不安を感じている。IlluminataのアナリストJonathan Euniceは、「AMDがVanderpoolと全く互換性のない仮想化メカニズムを進めるような、極めて愚かな対応をするとは考えにくい」と語った。同氏によると、AMDがそうした動きに出れば、多くのソフトウェアメーカーから不満が噴出する可能性があるという。「適切な方向を目指すのであれば、頑なに明言を避けた理由が理解しがたい」(Eunice)
サーバ上で複数のOSを同時に走らせる機能は非常に有効で、実際IBMやSun Microsystems、Hewlett-Packard(HP)から出ているメインフレームやUnixシステムでは、現在これが標準機能になっている。別々のOSを動かして、それぞれ異なるタスクを処理させれば、互いに干渉し合うことがないため、高速な処理が行える。
これに対し、IntelやAMDでも、XeonやAthlonなどを積んだx86マシンにこの技術を搭載しようとしている。両社はまた、ローエンドサーバだけでなく、パーソナルコンピュータでもこの機能が望まれるようになると主張してる。
IntelのGregory Bryant(デジタルオフィスプランニング/マーケティング事業部ディレクター)は、先週開催されたIntel Developer Forumのパネルディスカッションで、会社の仕事、個人的な作業、システム管理のアップデートというように、PCを複数のセグメントに分割して使うことができると語った。また、家庭のコンピュータユーザーがデジタルビデオを1つのパーティションで録画し、別のパーティションでは通常の作業を行うといった使い方もあると同氏は述べた。
現在、x86マシンで複数のOSを同時に走らせるには、EMCのVMwareやMicrosoftのVirtual Serverなど複雑なソフトウェアを利用し、いわゆるソフトウェアベースの「仮想マシン」をつくり出す必要がある。
また、この「hypervisor」市場には、これらの商用製品のほかに、Xenというオープンソースソフトウェアの選択肢もある。XenSourceという新興企業が開発を進めるXenには、コンピュータ業界の大手数社が支持を表明している。
MicrosoftのVirtual Server、VMware、Xenのいずれの場合にも、プロセッサレベルで仮想化技術がサポートされれば、ソフトウェア開発ははるかに容易になる。また、Xenの場合にはIntelやAMDで働くプログラマーらが直接サポート機能の開発に力を貸している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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