搭載される機能が少なければ、その分だけ製品としての魅力も低くなる。
Microsoftはこのようなメッセージを込めて最新版Windowsを「Windows XP Reduced Media Edition」と名付けたのではないだろうか。
欧州の裁判所は米国時間22日、Microsoftがメディアプレイヤーソフトを搭載しないWindowsを販売するよう欧州規制当局から命じられていた件について、上訴申請中であっても罰則に従わなくてはならないと述べた。これに従いMicrosoftは、「Windows XP Professional」と「Windows XP Home Edition」の機能限定版を、2005年1月よりコンピュータメーカーに出荷すると発言した。これら機能限定版は、欧州でのみ発売される。
MicrosoftのグループプロダクトマネージャーMatt Pillaは機能限定版の名称について、パッケージに入っている機能と、そうでない機能をできる限り分かりやすくしたかったと述べる。
「顧客が混乱しないように、できるだけ分かりやすい名前をつけた」(Pilla)
Windowsの機能限定版には「Windows Media Player」が搭載されておらず、このバージョンを使ってCDやMP3ファイルを再生したり、楽曲をポータブルデバイスに転送したりすることもできない。これを実現しようと思ったら、サードパーティー製のソフトウェアを入手する必要がある。新しいオペレーティングシステムにわずかながら残されたメディア関連機能としては、Sound Recorderで.wavファイルを再生する機能や、Windows Media Playerとは別個の動画制作プログラムなどが挙げられる。
Microsoftの法律顧問Brad Smithは22日にインタビューに応じ、「価値を(向上ではなく)低下させたバージョンのWindowsをリリースするのは、今回が初めてだ」と語った。
メディアプレイヤーを搭載しないバージョンは、お買い得な価格で提供されるとは限らない。欧州連合(EU)はMicrosoftに対し、機能限定版の価格を従来のバージョンより高く設定してはならないと命令しているが、価格を下げなくてはならないともしていない。
Smithは報道陣との電話会議のなかで、「裁判所、というよりも欧州委員会(EC)が下した裁定に忠実な価格設定を行うと思う。つまり、機能限定版は既存のWindowsと同じ価格で販売されるということだ」と語った。
Microsoftでは、Reduced Media Editionを欧州以外の地域でリリースすることは計画していない。このため、このバージョンを欲しい人々は欧州へ向かわなくてはならないことになる。
「現時点では、Reduced Media Editionを欧州経済地域(EU加盟国ならびにスイスとノルウェー)以外で提供する計画はない。また今後もそうする計画は出てこないと予想している」とSmithは報道陣に語った。
同氏によると、Microsoftでは22日の裁定が下される前から、機能限定版のWindows開発を進めてきていたという。
このバージョンは変更箇所も含めすべて正常に動作するが、それでも取り除かれた機能についての問い合わせが一部の顧客からサポートセンターへ寄せられそうだと同社は予想している。
同氏は、EUの命令に応じるためにかかった金額については明らかにしていない。同氏は、「Microsoftのような規模の企業にとっては大きな出費ではない」とだけ述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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