創造的作品の共有手段の開拓を目的とした非営利組織Creative Commonsが活動領域を著作権の分野から特許や科学的な研究発表の分野にまで拡大しようとしている。
カリフォルニア州スタンフォードに拠点を置くCreative Commonsは米国時間10日、新CEOに元CommerceNetの最高経営責任者(CEO)Mark Reschが就任したと発表した。また、新設されたScience Commons部門のディレクターには、起業家のJohn Wilbanksを起用した。
スタンフォード大学ロースクール教授で、Creative Commonsの創設者でもあるLawrence Lessigは声明の中で次のように述べた。「新設されたScience Commons部門のリーダーとしてWilbanksが加わったことにより、今後、知的試みの未知の領域でCreative Commonsのモデルが試されることになる。その意味で、Creative Commonsは胸躍るような新局面を迎えたといえる」
現在の特許プロセスに対しては、あまりに柔軟性に欠けるとか、真に独創的とは言えないアイデアを保護しすぎるきらいがある、などの批判が高まっている。今回、Creative Commonsが科学的分野に進出することにより、こうした批判の重みがさらに増す可能性がある。
こうした批判は、特にコンピュータ関連業界の間で広がっている。コンピュータ業界では、企業が、音声/映像のストリーミング配信やウェブブラウザ内でのアプリケーションの実行といったインターネットの基本的機能についての広範な特許の取得を試みてきた。
Creative Commonsは、ファイル交換者と、レコード会社および映画製作会社との間で争われた著作権戦争で、中立的立場を取ってきた。同団体は、芸術家、音楽家、作家が、一定の補償を受け取る権利を維持しつつ創作物を共有できる代替的な著作権システムを提案している。
Creative Commonsのウェブサイトによると、同組織の幹部は設立当初から科学分野への進出を検討していたが、当時は同分野に進出できるだけの「専門知識や技術的能力」がなかったという。
研究助成金を使ってなされた研究の結果がしばしば独占されたり、最近、世界的に特許法がデータ保護の範囲を拡大する方向に修正されていることなどを考えると、科学者間で知的財産の共有を可能にするシステムは特に重要とCreative Commonsは指摘する。さらに、同組織の「共有的」アプローチによって、(現在の特許プロセスに)欠けている柔軟性を同プロセスに導入する一助となる可能性があると同組織は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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