富士通は11月4日、同社の推進するIT基盤TRIOLEの中で、統合運用管理ソフトウェアとなるSystemwalkerの新バージョンを発表した。新たに発表されたバージョンV12の中で中核となるのはSystemwalker Resource Coordinator V12で、グリッド機能が強化されている。
富士通 取締役専務の伊東千秋氏は、「ITシステムの構成は、ビジネスが進化するにつれ日常的に追加・変更がなされている。こういったシステムの多様化が運用の複雑さに結びついているわけだが、この複雑さを解決するためには、システムの“分散”より“集中”に着眼しなくてはならない」と述べる。その例として伊東氏は電力システムを挙げ、電力網では必要なときに必要量の電力を安定供給しつつ、その裏の複雑さを知る必要がないとし、「ITインフラもグリッド技術で複雑さを解決できる」と述べた。
富士通 取締役専務 伊東千秋氏 |
従来のSystemwalker Resource Coordinator V11では、IT資源の仮想化とシステム稼働状況の可視化が可能で、システム上における問題の発生場所とその影響範囲を把握することができた。新バージョンのV12では、これまでの機能に加え、IT資源の自律的な最適配置機能が追加されている。また、同日発表されたInterstage Application Server V7との連携機能が強化されており、業務アプリケーションの運用まで含めた自律化が実現するという。
Systemwalker V12の最適配置機能では、ある業務のCPUの使用率がピークとなり、レスポンスが悪化した場合、リソースの状況を可視化して原因を特定する。そのうえで、プール化されたサーバ、ストレージ、ネットワークなどのIT資源から必要なものを選び出し、クリックひとつで自律的に負荷の高い業務にリソースを割り当てることができるというものだ。
Systemwalker V12の導入により、「負荷状況に応じた柔軟な業務運用が可能となるため、IT資源の稼働率向上に結びつく」と、富士通 経営執行役 ソフトウェア事業本部長の棚倉由行氏。また、サーバやデータの拡張、業務追加などの際に従来人手を介していたOSなどの設定作業が不要となるため、「運用作業は最大70%削減することが可能」(棚倉氏)という。
棚倉氏は「グリッドというと、これまでリソース管理ばかりに注目が集まっていたが、顧客にとっては業務が継続して行えることのほうが重要。今回のSystemwalkerでは、業務の継続性が実現できるよう注力した」と述べた。
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