米国政府は、顔認識技術が組み込まれたハイテクパスポートを年内に発行する計画を進めている。しかし、このパスポートについては、プライバシーに関する懸念や技術的問題が発生する可能性が指摘されている。
この「Eパスポート(別名:スマートパスポート)」は、パスポートの盗難/偽造防止、および空港や国境での入国審査の迅速化を約束する。2001年9月11日に発生した同時多発テロ以来、国境警備の強化を使命として掲げてきた米国の強い要請を受け、多くの国々がこのEパスポートを採用し始めている。
米国政府も間もなく、自国の国境警備に同技術を採用する予定だ。米国務省は先ごろハイテク企業4社に対し、Eパスポートを導入するための提案を策定するよう依頼した。同省はその中から1つの案を選択し、2004年末までに政府関係者向けに新パスポートの発行を開始する予定だ。
万事計画通りに進んだ場合、国務省は来春までに一般市民向けにもEパスポートの発行を開始する予定だ。最初は、Los Angeles Passport Agencyで更新や新規発行手続きを行った人に発行される。国務省領事局の広報担当Angela Aggelerによると、同省は2005年末までに100万部以上のEパスポートの発行を計画しており、さらに2006年末までに全ての新規パスポートに特別なマイクロチップが組み込まれるという。
Eパスポートには、パスポート保有者の氏名、生年月日、出生地といった基本データが保存された特別なマイクロチップが組み込まれる。米国務省からの受注獲得を争っているハイテク企業4社のうちの1社であるドイツのマイクロチップメーカーInfineon Technologiesの広報担当Saswato Dasによると、同チップは人間の髪の毛の太さにも満たない大きさで、記憶容量も64Kバイトしかないが、デジタル指紋、写真、眼球の虹彩模様といったバイオメトリックデータを保存できるだけの余地も十分あるという。
Infineon Technologiesのほかに国務省からの受注獲得を争っているのは、米国のBearingPoint、フランスのAxalto、イスラエルのSuperComの3社だ。
同チップはパスポートの表紙に組み込まれ、入国審査官が正規のスキャニング機器を使って数インチの距離からスキャンすることにより、瞬時にデータを読み取ることができる。これにより、審査官はチップ上の情報とパスポートに記載されている他の情報や同パスポートを実際に携帯していた人物とを見比べることができる。仮に両者に食い違いが見られる場合は、犯罪の可能性が疑われることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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