米Sun Microsystemsのスケーラブルシステムグループ上級副社長 デイビッド・イェン氏が来日した。同社でプロセッサやエンタープライズシステムを担当し、スループットコンピューティング戦略にも貢献してきた人物である。同氏は都内にて会見を行い、Sunのプロセッサ戦略について語った。
Sunは今年6月に、富士通と共同でAPL(Advanced Product Line)と呼ばれるサーバ製品群を開発すると発表している。これは2006年から2008年という2年間の提携だが、イェン氏によるとこれと並行して2006年より同社の次世代プロセッサNiagaraを搭載したシステムが発表される予定だという。Niagaraは、第2世代のCMT(チップマルチスレッディング)を採用するはじめてのプロセッサで、ひとつのCPUで32スレッドを実行することが可能。そして、富士通との契約期間が終わったのちに、Rockがデータ集約型のシステムとして登場する予定だという。
Sun Microsystems スケーラブルシステムグループ上級副社長 デイビッド・イェン氏 |
従来Sunのプロセッサは、2世代にわたってコンポーネントの互換性を維持し、マイグレーションをサポートしていた。SPARC IV+からAPL、さらにはAPLからRockへと世代が移る際の互換性がどうなるのか気になるところだが、この点についてイェン氏は、「富士通とSunは、これまでにも長年にわたって提携関係にあった。プロセッサのアーキテクチャの進化で新しい命令が入ることはあるが、互換性は確保されている。これまでも、そしてこれからもそうだが、既存のSPARC上で動いていたものは、新しいSPARC上でも必ず動くことを保証する。これは、APLでもNiagaraでもRockでも同じことだ」とした。
SPARC IIIからIVへの移行については、SunはCPUボードのみを差し替えてアップグレードできる方法を提供し、ユーザーの移行負担を軽減する策を取っていたが、APLではこのようなアップグレードはできないことになっている。これは、SPARCファミリーにおいて、II、IVなど偶数のファミリーは前の世代と互換性を持つように作られているのに対し、I、III、Vといった奇数のファミリーでは新しいパイプラインを採用するためだ。つまり、APLはSPARC Vに値し、大規模なアップグレードが必要になるという。ただし、次の世代のプロセッサについては、「富士通とSunが協力して設計し、前の世代と互換性を持たせるようにする」としている。
その後登場する予定のNiagaraとRockは、具体的にどのようなプロセッサとなるのか。イェン氏は、両プロセッサ共に単一プロセッサの名前ではなく、プロセッサファミリー名だとしたうえで、「Niagaraは、ネットワークインテンシブなアプリケーションに最適なものになる。それに対しRockは、データインテンシブなアプリケーションに最適化されている。つまり、単純なハイエンド、ローエンドのプロセッサというわけではなく、ワークロードに特化して最適化されたものとなる。これがプロセッサの正しい方向性だ」と述べた。
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