米特許商標庁は、Microsoftに対して以前に認めていたWindowsのファイルフォーマットに関する特許について、再審査の結果これを取り消す旨の仮決定を発表した。
特許商標庁は、当時すでに存在していた発明に基づけばFAT(File Allocation Table)特許の発想は自明で、特許の対象にならないと判断した。Microsoftは今後90日以内にこの決定に反応し、この特許を認めるべき理由を述べることになる。
Microsoftは声明を発表し、「これは特許の高い質を保証するための、長いプロセスの1つだと我々は理解している。現時点で我々には、FATファイルシステムの革新がなぜ特許による保護に値するかを明らかにする機会があり、(特許商標庁は)これらの特許を妥当だと判断すると信じている」と述べた。
今回の再審査を主に要求したのは、無名の公益団体、Public Patent Foundationだ。同団体らは、Microsoftがこの特許を利用して、オープンソースソフトウェアのベンダーから特許使用料を徴収する可能性を懸念していた。特許商標庁は今年6月に、再審査に応じていた。
「我々は、MicrosoftのFAT特許は偽物だという事実をしばらく前から知っていたが、特許商標庁は単にこの事実を確認しただけだ」とPublic Patent Foundationの事務局長Daniel Ravicherは声明のなかで述べている。
FATファイルシステムは、一般的なファイル保存方法として、パソコンのほか、デジタルカメラなどの機器で使われるリムーバブルフラッシュメモリでも利用されている。またオープンソースのSamba(LinuxやUnixコンピュータとWindowsコンピュータの間でデータ交換を行うソフトウェア)やLinux自体も、Windowsマシン上のハードディスクのファイルを読み書きするのにFATファイルシステムを利用している。
Microsoftに対しては、Linuxが同社の特許を侵害していると主張し、将来特許使用料を請求するのではないかと懸念する人々もいた。Linuxは一般公衆利用許諾契約(General Public License:GPL)に基づいており、特許使用料の支払いが必要な特許技術を含むものは配布できないため、FATの特許使用料がごくわずかであってもLinuxにとっては大きな問題となる可能性がある。 またSCO Groupは、同社が保有するUnixの著作権をLinuxが侵害していると主張しており、Linuxのユーザーやディストリビュータらは、同社の訴訟の脅威にもさらされている。
Microsoftはすでに、FATを利用するフラッシュメモリメーカー各社やデジタルカメラなどの機器メーカーらに、この技術をライセンス供与しようとしている。今回再審査の対象になった特許は、MicrosoftがFATファイルフォーマットに関するライセンスとして供与する4つのうちの1つを対象にしたものであることから、特許商標庁の最終的な決定が同社のこうした取り組みにどのような影響を及ぼすのかは明らかでない。Microsoftはまた、特許の認定が済んでいない知的所有物に対するライセンスも提供しているとの記述が、同社のウェブサイトには見られる。同社は、FATファイルフォーマットを利用する製品のメーカーから機器1台につき25セント(最大で25万ドルの上限あり)を徴収している。
Public Patent FoundationのRavicherはこれに関して、「MicrosoftへのFATに関するライセンス料支払いを選択した各社が、契約のなかに返金に関する条項を盛り込んでいることを願う。そうすれば支払ったライセンス料を取り戻せる」と述べた。
Microsoftは、FAT技術の特許に関する再審査の請求があった後も、そのライセンス供与を続け、第1号となったLexarのほかにも、新たに契約を結んだ相手があることを明らかにしたが、ただし相手先の名前は明かしていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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