Windowsの違法コピーをインストールできるなどの理由から、Linux PCの人気が高まりつつあることが、コンサルティング会社Gartnerから発表された調査結果により明らかになった。
Gartnerが米国時間29日に発表した調査結果によると、Windows PCを安く入手できるといってユーザーをおびき寄せるおとり商法として、今後Linux PCの約40%が、Windowsの違法コピーを動作させられるように改造されるという。
この傾向は、デスクトップLinuxが大人気の新興成長市場で顕著だ。同市場では、約80%の割合で、LinuxがPCから削除されて、代わりにWindowsの違法コピーがインストールされている。上海など、アジアや東ヨーロッパの都市の街頭では違法コピーが1ドルで販売されているほか、ブランドPCを扱う店頭にもこれらが並んでいる。
こうしたことから今後、デスクトップLinux PCの出荷台数が、実際にインストールされているLinuxマシン台数を超えてしまうだろうと見込まれる。Gartnerによると、2004年に出荷されるデスクトップPCの約5%がデスクトップLinuxになる見込みだが、アジア向けに出荷されるデスクトップについては10.5%がLinux搭載になるだろうという。しかし、Linuxのインストールベースはわずか1.3%になる見込みだと同社は予測する。
2008年には、出荷されるPCの7.5%をLinuxが占める一方で、インストールベースではLinuxの割合がわずか2.6%になる見込みだ。この数字は、同時点でのAppleのインストールベースと同程度。
また同調査では、デスクトップLinuxは、ドライバ不足やトレーニング費用、そして移行上の問題から今後伸び悩むだろうとしている。
「デスクトップLinuxの知名度は高まりつつあるが、Linuxだけを導入する大規模な事例は少ない。ヨーロッパの複数国の政府がLinuxへの移行計画を発表しているが、これらのプロジェクトの大半は評価段階に過ぎない」(Gartner)
もちろん、価格も著作権侵害の大きな要因となっている。PCに搭載されるコンポーネントのうち、Windowsを除くすべてが数年前から値下がりしている。 1996年には、Windowsは「プロフェッショナル」レベルのPCを構築する際にかかるコストの5〜6%しか占めていなかった。だが現在では、同OSがコストの12〜15%を占めている。
しかし、Linuxの普及がきっかけとなり、Microsoftも、タイやマレーシア、インドネシア、ロシア、インドで「Windows XP Starter Edition」と呼ばれる廉価版Windowsを販売するこについて検討するようになった。
「著作権侵害が続くとしても、新しいPCにはLinuxではなく、何らかの形のWindowsが搭載される方がMicrosoftにとっては良いだろう。この方が、Linuxに集まる関心が低下する」(同レポート)
GartnerはこのところMicrosoftに厳しい目を向けている。同社は8月にもWindows XP Starter Editionを批判するレポートを作成しており、同OSについて、機能が不足していて「ソフトウェアの著作権侵害を増加させる可能性が高い」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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