Hewlett-Packard(HP)は米国時間14日、下降線をたどるデータストレージ部門のてこ入れを狙った新製品を発表。また「ストレージグリッド」というアイディアを中心とするさまざまな計画を明らかにした。
グリッドコンピューティングとは、複数のコンピュータをつないで1つの計算リソースとして利用する技術だが、HPはストレージに対する同社のグリッドアプローチについて、顧客がデータをどのように格納するかではなく、どのように活用しているかに重点を置いて開発されたものだという。
「データやビジネスプロセスのデジタル化が進むなかで、顧客はデータを隔てる壁を取り壊し、それを単なる数字の羅列から、自分たちにとって意味あるものに変えるための技術を必要としている」と、HPネットワークストレージソリューション部門の最高技術責任者(CTO)Mike Feinbergは声明のなかで述べている。
今回発表された新製品のなかには、HPのRISS(Reference Information Storage System)の簡易版がある。RISSは、電子メールやMicrosoft Officeドキュメントをアーカイブ/検索するシステムだ。HPは、RISSシステムと多機能プリンタおよびソフトウェアを使い、紙の文書をデジタル形式に変換して管理し、素早く検索できるように設計された製品も発表した。また同社は、Hitachi Data Systems(HDS)から新たに出されたマシンをベースにしたハイエンドのディスクアレイ「XP12000」も発表した。
HPは来年にかけて、ファイルの提供/アーカイブ/管理用に開発された一連のストレージ製品を発表していくことを明らかにした。
ストレージ関連のハードウェアは現在売上が伸びているが、この背景には企業情報が増え続けているのと、新しい一連の規制でこれまでより長期間データを保存することが義務付けられたという要因がある。だが、最近のHPはこの分野で後退しており、調査会社IDCによると今年第2四半期の外部ディスクストレージシステムの売上は6億3100万ドルに落ち込み、前年同期から8.3%減少したという。同社は昨年第2四半期にこのカテゴリで首位の座にあったが、直近の四半期にはライバルのEMCにその座を明け渡している。IDCによると、EMCの外部ディスクストレージの売上は、前年同期から19.5%増の7億1900万ドルに達したという。
HPのサーバ・ストレージ部門の不振は、7月31日締めの同社の四半期決算の足を引っ張り、その結果何人かの幹部が更迭された。
この不振の原因は、流通の問題と、そしてミッドレンジのディスク製品の品揃えが弱いことにあった。同社はそれ以来ミッドレンジの製品をアップグレードしている。
HPは、すでに販売している4テラバイトの製品に加え、現在は1テラバイトのRISSシステムも提供しているという。この小容量の製品は10万ドル以下、XP12000は45万ドル以下で販売されていると同社は説明している。
IDCアナリストのJohn McArthurによると、HPのRISS製品はコンテンツのアーカイブ/検索における実に厄介な問題を解決するという。RISSは、EMCのCenterraを含むすでに地位を確立した製品と競合することになるが、McArthurはそれでも同製品がある程度までは成功すると考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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