ウェブブラウザのFirefoxは、わずか8カ月という開発期間で、はやくもバージョン1.0のリリースに近づいているが、今後はInternet Explorer(IE)ユーザーをいかにしてFirefoxに乗り換えさせるかという課題が待ち受けている。
Mozilla FoundationのFirefoxは、市場を支配するMicrosoftのIEに代わるオープンソースのウェブブラウザとして、急激に新規ユーザーを獲得している。バージョン1.0という節目を迎える前でさえ、同ソフトウェアのダウンロード数は4カ月毎に倍増してきており、最近2カ月間だけでも500万回近くを数えている。
しかし、Firefoxの成功の要因はすでになくなってしまった。IEのセキュリティ問題は、Microsoftがリリースした最新のWindowsアップグレード、Service Pack 2(SP2)で修正されている。またセキュリティ研究者や攻撃者らもFirefoxの急激な成長に注目を寄せていることから、今後Firefoxが攻撃のターゲットとされたり、厳しい安全性チェックの対象とされたりする可能性があるため、Firefoxのセキュリティが優れているとの評判は人気の高まり の影響を受けた最初の犠牲者となるかもしれない。
しかし、いまのところMozillaにとって最も差し迫った問題は、Firefoxのダウンロード用サーバがクラッシュしないようにすることだ。14日(米国時間)にリリースされたFirefox 1.0のプレビュー版について、Mozillaでは10日間で100万回のダウンロードを目標に掲げているが、同ソフトウェアはリリース後最初の5時間ですでに10万回以上ダウンロードされている。
Firefoxのダウンロードサイトは、「トラフィック増によって現在全く使えない状態だ。われわれはサーバが落ちないよう、急いで対応している」とMozilla広報のBart Decremは述べている。
これはMozillaにとっては、これまでになかった嬉しい悲鳴と言えるだろう。Netscape Communicationsが1998年にスタートしたMozillaプロジェクトは、オープンソース開発モデルに基づく最初のブラウザをリリースするまでに、32カ月もの期間をイライラと作業に費やしてきたが、この最初のリリースは痛烈な批判を浴びた。
その後リリースされたMozillaベースのブラウザは、質こそ向上したもののサイズが膨れ上がったため、Apple Computerは昨年リリースしたMacintosh用のSafariブラウザで、Mozillaを避けてKHTMLを採用したほどだ。
Mozillaはこうした不満の声に応え、よりコンパクトで高速なブラウザを開発するため、Firefoxのプロジェクトをスタートさせた。この計画はその名称をめぐって揉めていたが、最終的にFirefoxプロジェクトという形となった。
Mozilla自体は非営利組織で、FirefoxなどのMozilla製品はMozilla Public Licenseのもとで無料で利用できるが、Hewlett-Packard(HP)などの企業は商用製品のなかに同ソフトウェアを含めている。
Mozillaは先ごろ、Nokiaから携帯電話用ブラウザ「Minimo」の開発資金の提供を受けるなど、企業からの資金獲得に成功している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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