欧州連合(EU)がグリッドコンピューティングに6340万ドルの資金を投入する決定を下した。
このグリッド補助金は、欧州の調査プロジェクト12件に充てられるが、大半は4件の大規模プロジェクトに支給されるという。これらの4件のプロジェクトにはそれぞれ約1000万ドルずつ提供される。
グリッドコンピューティングとは、複数のマシンに作業負荷を分散させ、タスク処理を効率化させるための技術で、学術分野や専門的な商用環境で主に利用されている。たとえば、学術用に構築されたある大規模なグリッドプロジェクトでは、6000台ものマシンが素粒子物理学の研究に利用されている。
またグリッドコンピューティング技術は、計算処理能力の向上に投資するだけのリソースを持たない非営利プロジェクトを進める方法としても、技術コミュニティから注目されている。このようなプロジェクトとしては、地球外生命体を探索するSETI@home projectが挙げられる。
EUは、グリッドコンピューティングを商用利用する方法を見い出して欲しいと産業界に期待している。ビジネスアプリケーションを走らせる際にどのようにしたらグリッドを最も効果的に利用できるかを大学や研究機関に協業で研究してもらいたいというのが、今回の補助金支給の目的だ。
「欧州ではこれまでグリッド研究にかなりの額を投資してきた。これらのプロジェクトは、ここから実際の利益を生み出そうとするわれわれの取り組みを促進してくれる」と、企業/情報社会委員会のOlli Rehn委員長は今週、声明のなかで述べた。
「NextGrid」というあるプロジェクトでは、3年間かけて、さまざまな標準を策定するほか、ビジネスや運営上の課題に取り組むという。また、同プロジェクトのウェブサイトには「グリッドとWebサービスを融合させたい・・・このプロジェクトの目的は次世代グリッドを支える一連の新しいアーキテクチャデザインや主要なミドルウェアコンポーネント、アプリケーションサポートのメカニズム、ノウハウや各種標準を打ち出していくことだ」と記載されている。
同プロジェクトは、グリッドを「今日のウェブと同じくらい当たり前のもの」にしたいとも考えている。
欧州委員会が着手した他の3つの大規模プロジェクトは、自動車や航空宇宙産業、製薬業界向けのグリッド技術開発に取り組む「Simdat」、移動体通信やIPv6、Eヘルス、Eラーニングに重点を置く「Akogrimo」、欧州全域のグリッド研究者を結集する「Coregrid」プロジェクトだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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