電子メールサーバやデータベースなど、多くのソフトウェア製品は、サーバのプロセッサ数に基づいた価格設定となっている場合が多い。デュアルコアプロセッサが市場に登場した現在、ソフトウェアベンダーだけでなく顧客の側でも、この販売モデルについて再考する必要がある。
一部のソフトウェアメーカーは、デュアルコアプロセッサを搭載する1台のサーバを2プロセッサマシンと見なして顧客に課金し、プロセッサ単位で計算した場合のプログラムコストを実質的に倍増させている。それに対し、業界のなかには、マルチコアプロセッサを1台として扱うようソフトウェアベンダーに働きかけているところもある。ただし、顧客が少ないプログラム数で間に合わせることができれば、ソフトウェアベンダーの売上が減ることになりかねない。
ソフトウェアベンダーに対応を促そうと、チップメーカーのAMDは米国時間7日、x86プロセッサ市場におけるデュアルコアプロセッサへの課金方法を提案した。AMDはソフトウェアベンダーに対し、使用される物理的なソケット数を基本にしてプロセッサ数を計算するよう強く要請した。こうした場合、デュアルコアチップは 1台のプロセッサとして数えられる。今日行われている業務の大半ではこの計算方法が最も適している、とAMDは主張している。
同社はチップの計算方法以外にも、ソフトウェアへの課金方法の代案について検討することを企業各社に薦めている。
AMDのサーバ/ワークステーションソフトウェア戦略マネジャー、Margaret Lewisは、「ソフトウェアベンダーには業績に見合った正当な利益を享受してもらいたいが、プロセッサ数を数える以外にも方法はある」と語った。同氏は、ユーザーベースで計算する従来のモデルに立ち返ることもできるだろう、と話している。
HPとSunもソケット数による計算を主張している。HPの業界標準サーバ事業部ゼネラルマネジャーのBrad Andersonは、先日行われたインタビューの中で、ソフトウェアベンダーに負担がかかるものの、この方が顧客にとっては最もコストパフォーマンスが高い、と語った。
「Oracleはこのシナリオが採用されれば、ずいぶんと居心地の悪い思いをするはずだ。多くの独立系ソフトウェアベンダも同様だ。しかし、チップに載ったコアの数によって、ペナルティを課されるべきではないと思う」(Anderson)
市場シェアのモニターと予測を行うIDCは、大きな影響力をもつ調査会社だが、同社でもコアの数を数えることを止めている。同社は6月に、サーバ市場でのシェアの計算にソケットの数を使うと発表したが、これは例えばデュアルコアプロセッサを4基搭載するサーバの場合、4プロセッササーバが1台とカウントされるということだ。また、複数の命令スレッドを同時に実行できるチップの場合も、あくまで1つのチップとして計算されると、IDCは述べている。
Intelでも、マルチコアプロセッサを1つのチップとして扱うことを薦めている。同社のこの方針は、たとえばマルチスレッディング(もしくは「ハイパースレッディング」)のような、同社がここ何年かの間に導入した他のチップレベルの技術進歩と一貫性があると、同社のソフトウェアおよびソリューショングループのゼネラルマネージャ、William Swopeはいう。
「ソフトウェアベンダーに対して同情していないわけでもないし、我々がこの問題を理解していないというわけでもない。だが、これは何らかの方法に決めなければならないことだ」(Swope)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」