Advanced Micro Devices(AMD)は、同社のプロセッサのパフォーマンス向上を狙い、ある種の「Strained Silicon」を組み込み始めた。
Strained Siliconは、AMDのすべての90ナノメートル(nm)プロセッサに採用されている。このチップはちょうどPCメーカー各社への出荷がはじまったものだ。同技術は、今四半期に出荷予定の130nmプロセッサにも追加される見込みだと、AMDの関係者が19日(米国時間)に明らかにした。
Strained Siliconとは、互いに強制的にシリコン原子を引き離す設計技術のこと。原子の間隔が大きく空いた状態では、電子はより高速に移動できる。ホッケーのパックは、凍った湖のでこぼこの表面よりも、滑らかなホッケーリンクの上を滑らせた場合のほうが、ずっと高速に滑っていくが、それと同じ要領で電子の動くスピードも速くなる。電子の移動が高速になれば、それだけチップのパフォーマンスも向上する。
AMDは、同社が用いるStrained Siliconの詳細について多くを明らかにはしていないが、IBMやIntelが取り込んでいる方法とは異なると、前出のAMD関係者は説明する。IBMとIntelも、それぞれシリコンの層と、それよりも大きなゲルマニウム原子群をプロセッサ上に組み込んでいる。ここでは、当該の層の上にシリコン原子を引き離して配置している。さらに実はIBMとIntelの間でもその手法は異なっている。Intelでは、同社版のStrained Siliconが現行のパフォーマンスを10〜25%ほど改善すると述べており、その改善幅はトランジスタ回路によって変化するという。
AMDで自動精密生産技術のディレクターを務めるThomas Sondermanは、AMDの手法はより局所的なものであるという。前出のAMD関係者はSondermanの意見についてコメントを断っているが、他のAMD幹部や研究者らは、この局所的なStrainded Silicon技術は、チップ上のごく限られた部分にしか影響しないという。AMDのStrained Silicon技術が、(他社と)同じレベルのパフォーマンス改善をもたらすかは明らかになっていない。
AMDの研究者らは以前、Strained Silicon技術のAMDプロセッサへの組み込みに関してAmberWaveと共同作業を行っていたが、現在ではこの提携は終わっている。
AMD、Intel、IBMらはすべて、トランジスタのゲート(トランジスタ内部で電子の流れをコントールするオン/オフ型のスイッチ)でシリコンを金属に交換するという、プロセッサの設計上の大きな変更を加えている。金属によるゲートトランジスタを搭載したプロセッサは、45nm製造プロセスで採用される見込みであり、2007年かそれよりもやや早いタイミングで登場することになりそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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