Microsoftは、機能を絞って使いやすくしたWindows XPの廉価版を新興市場向けにリリースする準備を進めている。
「Windows XP Starter Edition」は、Microsoftの主力製品であるWindows XPオペレーティングシステム(OS)の廉価版で、標準版に比べ機能が少ない。同社のワールドワイド・パブリックセクター担当バイスプレジデント、Maggie Wilderotterによると、今年10月にタイ、マレーシア、インドネシアの3カ国で、Starter Editionを搭載したPCが発売されるという。
Microsoftは、さらに別の2カ国でもStarter Editionを発売するべく、詳細を詰めている最中だとWilderotterは語った。同氏は具体的な国名を明らかにしなかったが、以前インタビューのなかで、ブラジル、ロシア、ヨルダンの3カ国で同社が進めている計画について説明したことがあった。なかでもヨルダンは、IT業界の年間売上がここ5年間で2000万ドルから4億ドルに伸びている。
Microsoftは1年半前から米国以外の国々の政府と緊密に連携し、コンピュータリテラシーの向上やコンピュータの利用拡大を目指す取り組みを進めており、Starter Editionもその一環として出されるもの。同社は、各国の政府関係者に対して、自国でのIT関連技能養成のためのアドバイスを行なうプログラムを策定している。
このプログラムの一環として、あわせて67カ国の新興国では、一部の学校が標準版のWindowsへのアップグレードを無料で行え、さらに同社の「Microsoft Office」を2ドル50セントで購入できるようになっている。
Wilderotterによると、Microsoftでは現在およそ600人の従業員がこの取り組みに関わっているという。
無論、Microsoftも潜在顧客の増加という形でこの取り組みの恩恵を受ける。現在、世界人口のおよそ9分の1に当たる6億7000万人ほどがPCを利用しており、その数は2009年までに10億人まで増加するとアナリストらは予想している。
Windows XP Starter Editionは各国向けにカスタマイズされており、標準版とは多くの点で異なっている。たとえば、タイ、マレーシア、インドネシア向けの各バージョンには、それぞれの国の風景、国旗、伝統的デザインをあしらったスクリーンセイバーが搭載されている。また同バージョンには「MySupport」と呼ばれる初心者向けの支援用CDも付属している。ただし、Starter Editionでは、一度に3つのプログラムしか起動できず、またホームネットワーキング機能も備えていない。
Starter Editionはタイ語版と、インドネシアおよびマレーシアの公用語であるバハサ語版の2種類があり、バハサ・マレーシア(マレーシア語)とバハサ・インドネシア(インドネシア語)の違いにも対応している。
Microsoftはすでに、同社の統合ソフトパッケージ製品「Microsoft Works」の関連言語版は全てリリース済みだが、同社の「Office」の初心者版は開発していない。
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