米航空宇宙局(NASA)が、宇宙探査シミュレーションや他の研究で利用するLinuxベースのスーパーコンピュータ開発にSilicon Graphics Inc.(SGI)とIntelを指名したと、SGIが米国時間27日に発表した。
SGIによると、NASAはIntelのItanium 2プロセッサ512基を搭載したSGI Altixシステム20台を統合する計画だという。合計1万240個のプロセッサを搭載することで、NASAの保有する「Space Exploration Simulator」システムがLinuxをベースとしたスーパーコンピュータとしては世界最大規模になると、同社では説明する。
米カリフォルニア州のシリコンバレーにあるエイムズ研究センター(Ames Research Center:ARC)に設置予定の同システムは、最も処理能力の高いスーパーコンピュータの1つとなる見込みだ。同システムのプロセッサ数は、現在、最速のスーパーコンピュータ上位500のランキングで首位に君臨しているNEC製のコンピュータの2倍である。
この最新のスーパーコンピュータは、Project Columbiaと呼ばれる、NASAとSGI/Intel共同プロジェクトの一環として開発される。Project Columbiaでは、宇宙探索、地球温暖化調査、航空宇宙工学などにおける大きな進展を導くのが目標であると、SGIでは説明している。
NASA関係者は、新しいマシンがNASAのスーパーコンピューティング能力を約10倍にまで引き上げるだろうと述べている。NASAは、今後3年間で同プロジェクトにおけるコンピュータ関連投資に約4500万ドル投資することになると、同関係者は説明する。
今回の提携は、SGIとIntelだけではなく、Linuxの勝利をも意味する。歴史的にみれば、スーパーコンピュータはCrayやIBMといった企業の独自技術をベースとした巨大マシンであった。だが、多くの企業がIntel製プロセッサやオープンソースのLinuxを使ったマシンを複数つなぎあわせることで、強力なコンピュータをくみ上げるようになってきた。
いままでのところ、SGIが発表した最大のLinuxクラスタシステムは、全米スーパーコンピュータ・アプリケーション・センター(NCSA)用に構築したもので1024個のプロセッサを利用している。
今回のNASAの契約は、ハイパフォーマンスコンピューティング分野におけるItanium 2プロセッサの役割を確固たるものにしているといえる。4096個のItanium 2プロセッサで構成されるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)のスーパーコンピュータは、前述のTOP500 LISTの2番目のランクに位置している。
今回のスーパーコンピュータでは、512個のプロセッサを搭載した個々のマシンがそれぞれLinuxを搭載し、Voltaire製のInfiniBandスイッチで他のマシン同士と接続される。
SGIは、これまでにMIPSプロセッサと同社製UnixであるIrixを用いたコンピュータを開発していたが、しだいにItaniumとLinuxベースのシステムへと移行してきている。同社では既存ユーザーに対してMIPS-Irixのシステムの提供を続けていくつもりだが、その成長の源泉としては、Itanium-Linux製品に注力することになると、SGI広報のGinny Babbittは説明する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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