Microsoftは27日(米国時間)、Windows Serverのアップデートのリリースを延期すると発表した。またAdvanced Micro Device(AMD)のAthlon 64などの64ビットx86チップをサポートするWindowsの発売も延期される。
Microsoftは、「Windows Server 2003 Service Pack 1」と「Windows Server 2003 for 64-bit Extended Systems」ならびに「Windows XP 64-bit Edition for 64-bit Extended Systems」のリリースを、全て来年前半まで延期すると発表した。これら3製品は共に開発されているもので、これまではいずれも年内に出荷される予定だった。
今回のリリース延期の発表は、AMDにとって打撃となる。AMDはしばらく前から64ビットのデスクトップ用およびサーバ用チップを販売しており、これらのチップの機能を活用できるWindowsのバージョンを待ちわびていた。Intelも、x86と呼ばれる既存のPentiumアーキテクチャの64ビット拡張をサポートするチップのリリースを表明している。Intelの64ビットItaniumアーキテクチャをサポートするWindowsバージョンはすでにあるが、Itaniumアーキテクチャではx86チップとは全く異なる命令セットが使用されている。
「Microsoftの製品スケジュール全てに言えることだが、開発サイクルは任意の日程に合わせてではなく、顧客のニーズを重視しながら製品の仕上がり具合によって決められる」とMicrosoftは声明を出している。
Insight 64アナリストのNathan Brookwoodは、同ソフトウェアがリリースされればAMDが恩恵を被るのは間違いないが、ただしこの遅れによってIntelのXeonと争うAMD Opteronの機能が大きく損なわれることにはならない筈だと述べている。
「Opteronは32ビットモードでも非常によく動いており、IntelのXeonを相手に十分に太刀打ちできる」(Brookwood)。また同氏は、マイクロソフトによる発売の延期で、はからずもLinuxが優位に立つことになると付け加えた。64ビット対応のLinuxは、 IBMのDB2とOracleのデータベースソフトを両方ともサポートする製品がすでに出回っている。「データベースの性能向上を狙って64ビットシステムに切り替えようと考える人にとっては、Linux環境のほうが好ましいかもしれない」(Brookwood)
同氏はデスクトップについても同じことが言えるという。64ビット版Windowsのリリースが遅れることで、性能向上を必要としているユーザーのなかには、Linuxに切り替える者も出てきそうだ。「初期に出されるワークステーション用アプリケーションのなかには、CADのような技術市場向けの製品が多数ある。ここでも一部でLinuxの人気が高まっている」(Brookwood)
64ビットバージョンのWindows XPのリリースは、これまでにも度々延期されている。
AMDは2003年9月に最初の64ビットチップを発表した。このときMicrosoftは、今年前半までにこのチップをサポートするWindowsをリリースすると表明していた。
Microsoftは、他のバージョンのWindowsについても、リリースの延期を余儀なくされた。待望のWindows XPのセキュリティアップデート、Service Pack 2は予定より遅れ、出荷は8月に延期された。またWindows次期大型リリース「Longhorn」(コード名)の出荷は2006年以降になることを同社は明らかにしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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