アドビ システムズは7月1日、都内で記者会見を開催し、アクセシビリティに対する同社の取り組みを紹介した。これは経済産業省が6月20日に、ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する日本工業規格「JIS X8341-3」を制定したことに基づくもの。
この規格はホームページ上などで提供されるコンテンツが満たすべき具体的な要件を規定したもの。高齢者や障害者が支障なくコンテンツを利用できることを目的としている。
米国では2001年にリハビリテーション法第508条が施行され、連邦政府が使用する機器や情報サービスは障害者が健常者と同等に利用できるものに限定された。このため、アドビは以前よりアクセシビリティに対する取り組みを進めてきたという。製品ではAcrobat 5.0からアクセシビリティ機能を搭載している。
アクセシビリティに問題のある箇所は黄色で表示され、問題点がわかるようになっ
ている。
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アドビでは日本でも官公庁で導入に力を入れており、PDFが「誰でも使える」(アドビ システムズ インテリジェントドキュメント部 部長の市川孝氏)ことをアピールしたい考えだ。
JIS X8341-3ではまず、視覚を用いなくてもウェブコンテンツを操作、利用できるように求めている。このためアドビでは他社の読み上げソフトなどと連携できるよう、Microsoft Active Accessibilityをサポートする。また、マイクロソフトのWordなどのファイルをPDFに変換する際、文書の構造情報(タグ)をPDFに埋め込んで、適切な順番で読み上げができるようにしているという。
また、視覚の弱い人や手の不自由な人でも操作がしやすいよう、キーボードのショートカットや自動スクロールによる文書内の移動などにも対応している。画像や動画には、読み上げのための代替テキストを付加できるようになっている。
Acrobat Professional版では、製作したPDFファイルのアクセシビリティをチェックする機能を備える。ここでは代替テキストや言語情報の有無など6つの項目についてチェックすることが可能。問題のある箇所は黄色でマーキングされ、問題点についても解説が表示されるという。
アドビの課題は、このような機能の認知度をいかに上げるかだ。「PDFでタグがついているものはまだ少ない」と市川氏は話す。同社では1日、アクセシビリティに関するサイトを立ち上げ、同機能に関する啓蒙活動を行っていきたいとしている。
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