サンフランシスコ発--携帯電話市場でJavaのニッチを確保したSun Microsystemsは、新たなクライアント端末に狙いを定めている。同社がサーバ分野での将来を託そうとしているこの端末とは、すばり自動車だ。
Sunはサーバ市場で成功を収めはしたものの、MicrosoftをPCの分野で脇に追いやるには至っていない。デスクトップPCやノートPC向けのプログラムを開発するにあたり、その基礎として使われているのは、SunのJavaではなく、MicrosoftのWindowsだ。だが、ユーザーがネットワークサービスを利用するのに使う「クライアント」端末は、PCだけとは限らない。
「クライアント端末が再び重要になっている」--Sunの最高業務責任者(COO)Jonathan Schwartzは米国時間28日、サンフランシスコで開幕したJavaOneカンファレンスの参加者に、こう語りかけた。「クライアント端末とは、大学と病院と患者をつなぎ、自動車メーカーと運転手を結びつけ、携帯電話と利用者の間に存在する接点だ。この市場の進化が再び活発になってきている」(Schwartz)
Javaは、携帯電話用ゲーム向けの主要なプラットフォームとなったが、同社はこの携帯電話での成功を、車載コンピュータの分野でも再現したいと考えている。
Schwartzは、JavaOneの参加者に、ある自動車メーカーとのミーティングに関する話をした。若くしてSunの経営陣に加わったSchwartzは、このミーティングで携帯電話の着メロダウンロード市場が35億ドルに成長していると説明した上で、「われわれは自動車向けに、ダウンロード可能なホーン(クラクション)を提供できる」と提案したという。これを耳にした参加者からは一斉に笑い声が上がったが、それが収まった後でSchwartzは、「わざわざ5ドルも出して、自分のクルマに新しいクラクションを付けるという17歳の少年がいるのを知っているか。私には心当たりがある」とコメントした。
JavaOneでは、SunとSiemens VDO Automotiveの幹部が最新のBMWを披露した。このBMWには、Javaベースの車載コンピュータが搭載されており、ナビゲーションや空調、エンターテインメントやその他の機能をコントロールできる。Siemens VDO Automotiveのインフォテインメント部門の最高責任者、Roland Bushによると、同技術はBMWの100、300、500、600の各シリーズに採用されることになっており、将来700シリーズでも搭載されることになりそうだという。
調査会社Redmonkのアナリスト、James Governorは、新しいクライアント端末という分野に普及させるには、Java技術は適しているという。「Javaには、ニッチな分野に適用できる柔軟性があることが証明されている」(Governor)
SchwartzはJavaOneで、金融業界やIT業界アナリストは、携帯電話でのゲームやその他の音声以外のサービスの潜在性を見逃したと指摘した。Javaに対応する携帯電話は、これまでに合わせて3億5000万台が出荷されており、これらの携帯電話向けゲーム市場の規模は30億ドルまで拡大しているという。「ゲーム市場ではJavaが使われている。それは単純で、混じりけのない事実だ」とSchwartzは付け加えた。
Sunでは、同社の販売する強力なサーバ、ストレージシステム、ソフトウェア、サービスなどを基盤とした新しいネットワークサービスを普及させることで、Javaから利益を上げようと考えていると、Schwartzは語った。そして、同社が主な市場として狙うのは、携帯電話の場合と同様にJavaの恩恵を被れる移動通信キャリアだ。
「これらの通信キャリアには、興味深い現象が見られる。携帯電話向けに構築した通信インフラの用途は、何も電話だけに限らない、ということにわれわれは気付いた。このインフラを使って、テレビのセットトップボックスとも、自動車とも、さらにはパーキングメーターともデータをやりとりすることが可能だ」(Schwartz)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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