Sun Microsystemsは米国時間28日に、Javaのソースコードの一部をオープンソース化するとの発表を行う予定だ。今回オープンソースとして共有されるのは、Looking GlassプロジェクトというデスクトップPC向けの実験的なユーザーインターフェースのコードだが、この動きはプログラムのオープンソース化に向けた活動の影響力が高まっていることを反映したものといえる。
Sunはこの発表を、サンフランシスコで開催になる同社のJavaOneカンファレンスで行うことになっているが、これはJavaのような分野でさえオープンソースソフトウェアの哲学が重要であることを認めるものだ。Sunはこれまで、Javaのオープンソース化に消極的な姿勢を示していた。Looking Glassに関しては、同社はコードをオープンソースにして、3Dのインターフェース開発にJavaを採用することに、開発者の興味を引き付けたい考えだ。
Sunのソフトウェア部門責任者に先ごろ就任した同社シニアバイスプレジデントのJohn Loiaconoは、Looking Glassのソースコードと、このインターフェイスが利用する事前構築済みのJava3Dソフトウェアを公開することにより、開発者やソフトウェア企業から注目を集められると述べている。
Javaはこれまで、コンピュータの3D描画機能を酷使するコンピュータ支援設計(CAD)のようなアプリケーションを動かした際に、動作速度があまりに遅くなると非難を浴びていた。だが、Java3Dの機能を拡張したことで、この問題は解決できたとLoiaconoは述べている。「われわれは、Java3Dを使って、CADソフトを動かしたり、あるいはユーザー環境全体を3Dにできることを実証した。Javaはこうしたタスクの処理も実によくこなす」(Loiacono)
主要なJavaサポーターであるIBMは、Sunに対しJavaをオープンソースにするよう求めていた。Sunは当初この提案にひややかな反応を示したが、後にはこの姿勢を変え、いずれはそうなるだろうと述べていた。
Sunは、Looking Glass以外にも2つのオープンソースプロジェクトを発表することになっている。その1つは、チャートやテーブル、フォームを用いるプログラムの構築を容易にするJDesktop Network Componentsで、もうひとつはJavaデスクトップソフトウェアをウェブブラウザや電子メールソフトウェアなど、既存のアプリケーションにリンクできるようにするJDesktop Integration Componentsだ。
Sunはまだ一部のオープンソースプログラムの詳細を煮詰めているところが、同社のウェブサイトによると、Java 3Dプロジェクトにコードを提供するためには、開発者はJoint Copyright Assignment(共同著作権譲渡証書)に署名しなければならないという。なお、この書類はまだ公開されていない。また、専門技術を明示できる外部プログラマは、いずれ同プロジェクトへ新しいソースコードを提供することを認められるようになるという。
しかし、今回Sunが開示するのは、膨大なJavaのコードのほんの一部に過ぎない。そして、この動きが従来のJavaの管理方法を根本から変えるわけでもない。Javaは現在まで、複数の企業が参加するJava Community Process(JCP)というグループが共同で管理してきており、将来どのような機能強化を行うかに付いても同グループが決定している。
昨年さまざまな機会でデモが行われたLooking Glassだが、この技術では要らないウィンドウを画面の脇に寄せておくことが可能で、この時ウィンドウは書棚に収められた本のような状態になる。また、ウィンドウの裏表をひっくり返して、裏側にメモを書き込むこともできる。さらに、カーソルの動きに合わせてウィンドウの背景にある画像が少しずつ変化する。
Javaを使って書かれたソフトウェアは、たとえばWindowsやLinuxなどのOSに合わせていちいち書き換えなくても、同じものを動かすことができる。Javaには、携帯機器やコンピュータ、サーバなど、異なるハードウェア向けにつくられたいくつかのクラスがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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