米軍と契約する民間企業が、Apple Computerから1566台のサーバで構成するスーパーコンピュータを580万ドルで購入した。これは、世界最強のコンピュータリストの上位に一瞬だけ登場した学術向けシステムの性能をさらに上回るものとなる。
昨年11月に、1100台のデュアルプロセッサPower Mac G5で構成されたマシン「System X」(通称「Big Mac」)は世界最速スーパーコンピュータ上位500リストの第3位に登場した。Colsa(本社:アラバマ州ハンツビル)は21日(米国時間)に、軍用の超音速飛行の空気動力学シミュレーションのために、「MACH 5」という、System Xより大型のシステムを購入すると発表した。
System Xは最新のスーパーコンピュータ上位リストからは抜け落ちたが、10.3テラフロップ(1秒間に10兆3000億回の演算)の性能を実現していた。それに対して、ClsaのシステムはデュアルプロセッサのXserve G5マシンで構成されており、今秋に予定される稼動開始時には、約15テラフロップの性能に達する見込みだと、プロジェクトマネージャーのMike Whitlockは述べている。
なお、最新のスパコン上位500ランキングで最も高速なシステムは、35.8テラフロップを記録したNECの地球シミュレータで、また同ランキング中15テラフロップを越えたシステムはこれ以外に1つしかなかった。
調査会社のIDCによると、技術系の目的に使われる高性能コンピューティング市場は、Hewlett-Packard(HP)とIBMの2社が支配しており、2003年の両社の売上はそれぞれ17億9000万ドルと16億2000万ドルだったという。しかしAppleも自分の分け前を狙っている。同社は数多くのサーバを制御する管理ソフトウェアをリリースしたほか、不要なコンポーネントをはずしたスーパーコンピューティングクラスタ用モデルも販売している。
Appleのこれまでの成功は、同社が採用しているプロセッサ、IBMのPowerPC 970の力によるものだと、IlluminataのアナリストGordon Haffは述べている。
「MacintoshソフトウェアとOS Xの優れた管理機能ももちろん無視できないが、最も大きな成功要因がプロセッサの性能であることは間違いない。PowerPCは高速なプロセッサだ」(Haff)
確かに、このチップの「浮動小数点演算」と呼ばれる数学計算の処理能力は、非常に優れている。「このプロセッサの浮動小数点ユニットは、特に魅力的だ」とWhitlockは述べている。
Colsaでは、メインのオペレーティングシステム(OS)としてMac OS Xを採用するが、Red Hat LinuxやYellow Dog Linuxなど他のオプションも検討すると、Whitlockは付け加えた。
MACH 5は、Multiple Advanced Computers for Hypersonic G5の略で、約56平方メートルのスペースにならんだラック42台に格納される、とColsaのエグゼクティブバイスプレジデント、Anthony DiRienzoは述べている。同氏は、合わせて6社が入札に参加したなかで、Appleがこの案件を勝ち取ったと述べたが、参加した他の企業名は明らかにしなかった。
MACH 5とSystem Xの違いの1つは、個々のサーバ同士を接続するネットワークシステムだ。System Xでは高速InfiniBand技術が使用されているが、MACH 5では一般的な1gbpsの(ギガビット)イーサネットが使われると、DiRirenzoは説明した。
Colsaが行なう流体力学シミュレーションでは、ネットワークスピードよりもプロセッサの処理能力のほうが重要だ、と同氏は述べている。
Appleのサーバ・ストレージハードウェアディレクター、Alex Grossmanによると、米バージニア工科大学が開発中のSystem Xの後継マシンは、次回11月のスパコン上位500ランキングにランクインするタイミングで稼動する予定だという。この新しいシステムは、Xserve G5マシンで構築されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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