IBMは世界のスーパーコンピュータ上位500のランキングで再び他社を圧倒し、同社の2つのプロトタイプが異例の上位10位入りを果たした。
最新のトップ500入りしたシステムの数では、IBM製が224台、またHewlett-Packard(HP)が140台となり、IBMが2001年以来初めてHPをリードした。同社の新しいシステムはそれぞれ4位と8位にランクインしたが、これらはいずれもBlue Gene/Lのプロトタイプである。同システムは競合する他のスパコンに比べ、設置スペースが非常に小さく、消費電力もとても少ない点が特徴である。
IBMは、これらのプロトタイプについて、長年に続けてきた取り組みが実を結びつつある証だとしている。しかし、これに対してHPは、新たにランクインしたシステムの数について、IBMとHPは共に108台で違いはないと反論している。なお、HPは2003年に、高性能のテクニカルコンピューティング市場全体で最も多くのシステムを販売していた。
このランキングは、年に2度開かれるスーパーコンピュータ・カンファレンスで発表されるもので、Linpackと呼ばれる速度テストの結果を基準に順位付けしている。今回も首位となったのはNECの地球シミュレータ(5120基のプロセッサを搭載)で、1秒間に35兆6000億回の演算 (35.6テラフロップ)が可能となっている。
新しいシステムが多数ランクイン
前回2003年11月の時と同様、今回もたくさんの新システムがランクインしている。
1テラプロップの閾値を超えたシステムの数は242台で、3年前の12台から大きく増加している。
さらに、今回500位となったシステムは、半年前には242位だったものだ。このリストをまとめた独マンハイム大学、米テネシー大学、米ローレンス・バークレー国立研究所の関係者によると、これほど入れ替わりが激しかったことはこれまでなかったという。
第2位に入ったのは、予想通り、California DigitalのThunderで、米ローレンスリバモア国立研究所にあるこのシステムは IntelのItanium 2を4096基搭載し、19.9テラフロップの性能を有する。
欧州中期予報センターにあるIBM製システムも今回初めてトップ10入りした。このシステムはPower4 +を2112基搭載しており、処理性能は9テラフロップで9位となった。また理研にある富士通製スーパー・コンバインド・クラスタも8.7テラフロップの処理性能を誇っている。さらに、Dawning 4000Aという中国製のシステムも、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronを2560基搭載し、8テラフロップもの性能を叩き出せる。
前回のランキングで3位につけた米バージニア工科大学の「System X」(別名「Big Mac」)はApple ComputerのPower Macをつかったクラスタということで話題を呼んだが、今回はハードウェアのアップグレードのため同ランキングから抜け落ちている。
また昨年11月のランキングで初めて登場したAMDのOpteronは、今回大いに躍進し、合わせて30台のシステムがランクインした。
IBMの薄型ブレードサーバ「BladeCenters」で構成するシステムも30台ランクインした。モスクワの共同スーパーコンピュータセンター(Joint Supercomputer Center)にあるシステムもそのうちの1つで、IBMのJS20というブレードを採用しており、プロセッサの数は合わせて168基となっている。なお、JS20で使われているのはSystem Xと同じIBMの PowerPC 970だ。
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