「Zeke」は自分が使っているウェブオーサリングアプリケーションに概ね満足していた。だが、ページに「ここをクリック」というリンクを追加した際の、ボタンの見た目が気に入らないことが時々あった。
そこで彼はいくつかの開発ツールを使って、自分で光沢感のある新しいボタンを作成し、これを公開して、誰でも無料で利用/修正できるようにした。
これだけ聞くと、よくあるオープンソースコミュニティの幸せな話のように思われるだろう。しかしここで問題となっているアプリケーションは、Macromediaの「Dreamweaver」という代表的なウェブオーサリングソフトで、100%プロプライエタリなソフトウェアメーカーの主力製品なのだ。
しかしMacromediaは、顧客が無料で提供されている開発ツールを使って自作したソフトウェアアドオンを、フリーウェアやシェアウェアの形式で交換するのをサポートしている数少ないメーカーの1つでもある。ソフトウェアメーカーの多くは、さまざまな法的問題やビジネス上の懸念から、ユーザー向けのこうしたフォーラムを中止しているが、MacromediaやAdobe Systemsなど数社ではいまでもこうしたサービスを存続させており、クローズドなプロプライエタリ開発モデルとオープンソースの協同による開発手法との間に、興味深い妥協点を作り出している。
「アドオン交換によって、オープンソースのプラス面が利用できていると思う」とMacromediaの製品管理担当バイスプレジデント、Jeff Whatcottは述べている。「コミュニティの力を活用して、わが社の製品の価値を高めようという発想だ。これは皆にとって有益なことだ」(Whatcott)
Whatcottは、アドオン交換によるメリットとして、製品の利便性が向上し、Macromediaの長期的なビジネス目標にプラスになることや、顧客が仕事で利用する環境を簡単にカスタマイズできるようになることなどを挙げた。
ソフトウェア業界ニュースレター「Softletter」の編集者Jeffrey Tarterによると、ユーザー同士の交換は以前は一般的だったが、大手ソフトウェアメーカーが費用や法的リスクなどの責任を懸念したため減少したという。
世界最大のソフトウェアメーカーであるMicrosoftでは、OfficeやWindowsといった主要製品のソフトウェアアドオン制作を、ライセンスを受けた専門の開発会社だけに許可している。Tarterはこれを残念なことだと述べている。
「これは素晴らしいモデルだ。これを採用しないソフトウェア会社が多いことに、私はいつも驚いている。非常に常識的なことに思えるのだが」(Tarter)
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