新たに発表された調査レポートによると、ハードディスク(HDD)メーカー各社の努力は空回りしているという。
投資銀行Credit Suisse First Boston(CSFB)が米国時間27日に発表したレポートによると、成功するのが難しいことで有名な同業界は、現在もお定まりの値下げ競争を続け、利益見通しも芳しくないなかで行き詰まり状態にあるという。
「HDDの需要は堅調だが、エンタープライズ向けを筆頭に極端な価格競争が陥っており、このせいで第2四半期の利益のほとんどが消えてしまった」と、CSFBは同レポートに記している。
CSFBの投資判断では、MaxtorとSeagate Technologyが「neutral(中立)」、Western Digitalが「outperform(優秀)」となっている。「Western DigitalはデスクトップPC向けの製品に品揃えを絞り込んでおり、エンタープライズ向け製品の市場における価格下落からは、それほど直接的な影響を受けないことから、同業界のなかで最も魅力的な投資先となっている」(同レポート)
MaxtorとSeagateの両社からは、この件に関するコメントは得られなかった。
エンタープライズ向けのHDDとは、EMCやHewlett-Packard(HP)、IBMなどが製造するデータストレージ機器や、強力なサーバに搭載されるものを指す。
調査会社TrendFocusのバイスプレジデントJohn Donovanも、CSFBのレポートと同じ意見だ。「彼らは過去の過ちを繰り返しているに過ぎない。単に生産過剰なのだ」(Donovan)
Donovanの予想によると、この第2四半期には赤字を計上するHDDメーカーも出るが、しかし今年後半には状況が改善するという。
昨年、業界筋はHDD市場について楽観的な見方をしていた。殊に音楽プレイヤーのような家電機器を中心に、HDDに対する需要が増大するとの予測が出されていた。また、QuantumによるMaxtorへのHDD事業の売却や、日立製作所によるIBMのHDD部門買収により、HDDメーカーの数も減少した。
HDDの需要は堅調なようだ。たとえば、Maxtorでは2003年第1四半期に1240万だった出荷台数が、今年第1四半期には1360万台へと上昇したという。
だが、Maxtor最高経営責任者(CEO)のPaul Tufanoは、前四半期について、「デスクトップ向け製品については、流通チャネルで在庫がだぶつき、エンタープライズ向けの市場では値下げ競争が激しかったことから、厳しい四半期となった」と語った。Maxtorは、同期の純利益が920万ドルとなり、前年同期の2740万ドルから大幅に減少したと報告していた。
CSFBは、HDD業界の見通し改善の鍵を握るのは、メーカー間の吸収合併がさらに進むことだと示唆。「今後さらにメーカー間の整理統合が進み、新製品が投入され、あるいは年末にかけて需要が増大することが、現在の状況を改善する最良の手段になると、われわれは見ている」(同レポート)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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