ノベルは5月27日、米Novellが2004年1月にLinuxディストリビュータのSUSEを買収したのを受け、企業向け日本語版ディストリビューション「Novell SUSE LINUX Enterprise Server(SLES)8」「Novell SUSE LINUX Standard Server(SLSS)8」「Novell SUSE LINUX Desktop(SLD)1」の3製品を6月1日より出荷すると発表した。同社では、デスクトップ/サーバOSにSUSE Linuxを迎え入れ、既存のネットワーク管理製品ら同社のソリューションを掛け合わせることで、トータルソリューションを提供できるベンダーへの仲間入りを狙っている。
Novell SUSE LINUX Enterprise Server8(画面はYaST) |
ノベルは、1990年代前半にネットワークOSのNetWareで一時代を築いたメーカーだ。その後、デスクトップOSとしてWindows 95、サーバOSとしてWindows NTの猛追を受ける形で、その軸足をディレクトリサービスやシングルサインオンなど、ネットワーク管理とセキュリティの分野へと移していた。そしていま、米Novellが2004年1月に欧米を主なターゲット市場とするLinuxディストリビュータのSUSEを買収したことで、再びデスクトップ/サーバOSの分野に返り咲こうとしている。2004年3月に米ユタ州ソルトレイクシティで開かれた同社主催のカンファレンスNovell BrainShare 2004で、米本社CEOのJack Messman氏はSUSE買収後の初の製品発表を受け「Novell is back.(ノベルは帰ってきた)」と大々的に復帰宣言を行っている。すでにPC向けのOS市場ではマイクロソフトが大きなシェアを握っており、Linuxの分野では総合ベンダとしてSun MicrosystemsやIBMなどがシェア拡大を狙っている。このような状況下で、ノベルとしてはどのように対抗していくつもりなのだろうか。
ノベル代表取締役社長の吉田仁志氏 |
ノベル代表取締役社長の吉田仁志氏は、記者発表会の席で「SUSEが日本であまり知名度がないことは承知している。世界規模でLinuxディストリビューションを統合していくUnitedLinux構想を発表した際に、SUSEは市場として欧米を選択し、日本ではTurbolinuxがその役割を担った(UnitedLinuxのベースになったのはSUSE)。その意味では、今回の発表をもって初めてSUSEが日本市場に上陸したことになる。今後はNovell SUSEとして両ブランドの認知を図っていきたい」と述べている。
また、SUSEを選択したノベルの競合に対する戦略では「すべてのソリューションをLinux上で提供できる『Linuxフルスタック』体制がノベルの強みだ。SUSE自身は、AutoBuildという異なるプラットフォーム間でコード一貫性を保証しつつバイナリを自動生成する仕組みや、集中管理ツールYaSTによるGUIベースでの簡単な管理機能、SUSEのみに認められたセキュリティ認定などのアドバンテージを持っている」と、後発ながら十分に市場で戦っていけるだけの体制があることをアピールする。ターゲットとする市場は金融関連を中心とした企業向けが中心であり、パートナーであるIBMを介してすでに案件が進んでいる状態だという。IBM以外にも、HPをはじめ国内外大手各社との提携を進めていく予定だ。
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