Bill Gatesは、企業ネットワーク向けにエンドツーエンドの検索ツールを提供するという夢を抱いている。だが、これは少なくともあと数年の間、文字通り「夢」のままとなりそうだ。
Windowsサーバ開発担当シニアバイスプレジデントのBob MugliaがCNET News.comに対して語ったところでは、Gatesが次期Windowsの大型リリース「Longhorn」の「聖杯」と呼んだ高度な検索機能は、2009年にならないと完成しないという。
「WinFS」というこの新技術は、文書やメールメッセージ、マルチメディアファイルなどを、ファイル形式に関わらずローカルなパソコンやネットワーク上で検索しやすくする、Windowsファイルシステムのアドオンだと、Microsoftでは説明している。
同社は現在も、2006年中頃に出荷予定のLonghornのクライアントバージョンにWinFSを含めることを計画している。また、2007年発売予定のLonghornサーババージョンにも、WinFSが導入されるとMugliaは語った。しかし、「WinFSの機能やシナリオに関して、一部実現できないものが出てくるかもしれない。非常に容量の大きい企業向けサーバで利用できるような、われわれの理想レベルに到達したものを出せるかどうかは分からない」(Muglia)
これはつまり、WinFSがLonghornサーバが出荷される時点では、大規模な企業ネットワークのコンテンツ検索で完全に利用できるレベルには達しないということだ。「したがって、たとえばワークグループの共同作業用サーバなどでWinFSを使うことは可能だろう。しかし何百人ものユーザーをサポートするには、後にアップデート版がリリースされるまで待たねばならない」(Muglia)
Longhornの出荷スケジュールがずれ込んでいることで、MicrosoftがLonghornに関して、実は自社のソフトウェア開発・提供能力を上回る目標を掲げていたことが改めて示された。Longhornに関するこのほかの計画にも変更がみられる。WinFSは延期されたものの、Longhornの別の主要機能である新Webサービスアーキテクチャ「Indigo」(コード名)は、予想より早く、おそらくLonghornの発売前に提供されるだろうとMugliaは述べている。
Microsoftは10年以上前から、WinFSプロジェクトの元となるコンセプトを、さまざまな形で開発してきた。Microsoft社内では、会長のBill Gatesが自ら旗振り役を務めるこの検索のアイディアは、もともと1990年代前半にWindowsへの追加機能として考え出されたものだった。
MicrosoftはWinFSを開発し、コンピュータ業界が創生期から抱えてきている難問を解決しようとしている。その難問とは、ファイル形式に関係なくどこからでも必要な情報を素早く見つけて処理する方法だ。Microsoftは企業や顧客に対し、Longhornへアップグレードする理由を与えようとしていることから、こうした検索技術は同社の強力な販売ツールにもなり得る。
しかしこれまでの状況をみる限り、WinFSの開発はあまりに野心的に過ぎた計画だったようだ。「Longhornサーバの機能について、Microsoft社内では皆が多くの夢を抱いていた。初期の夢の段階から現実の段階に移行するにつれて、機能やシナリオが縮小されるのは自然なことだ。これは、他の製品開発でも経験する自然なプロセスの一部である」(Muglia)
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