米国のローレンス・リバモア国立研究所に最近導入されたスーパーコンピュータ「Thunder」は、地球上で2番目に最強とされる計算機だが、このマシンを構築したのは不動産会社ほどの従業員数しかいない小さな企業だ。
シリコンバレー郊外にある従業員55人の企業California Digital(カリフォルニア州フリーモント)は、同研究所のさまざまなタスクを実行するため、4プロセッサのItanium 2サーバ1024台でThunderを構築した。Thunderは1秒間に19兆9400億回の演算が可能で、独マンハイム大学と米テネシー大学、ローレンス・バークレー国立研究所が年2回発表しているスーパーコンピュータTop500リストが現時点でデータをまとめれば、第2位にランクインするものとなるだろう。
Thunder構築でポイントとなったのは、Linuxオペレーティングシステム(OS)を採用し、比較的安価な市販のハードウェアを多数つなぎ合わせて、爆発による影響の可能性シミュレーションや銀河の形成に関するデータの解析などを行なう処理能力を備えたコンピュータを素早く構築することだった。このマシンは数百万ドルするものだが、それでも同等の処理能力をもつ従来のスーパーコンピュータより約3分の1ほど安い。
「この市場における一流メーカーの支配力は、他の市場ほど大きくない」とCalifornia Digital社長Douglas Boneは述べている。同社はこの他にも、Fortune 500にランクインしている企業数社に、大規模なLinuxクラスタを導入した実績がある。この新興市場には、California Digitalの他にも小規模な企業が参入している。
たとえばLinux Networx(ユタ州)は、ロスアラモス米国立研究所用にAdvanced Micro DevicesのOpteronプロセッサをベースとした2つのスーパーコンピューティング・クラスタを構築している。このうち2816基のプロセッサからなるクラスタは核保有量の研究に用いられ、また512プロセッサのクラスタは、セキュリティが厳しくない小規模なタスク専用となっている。さらに同社は、米陸軍研究所向けに2132基のIntel Xeonプロセッサを用いたクラスタも構築している。
Linuxクラスタ市場にはこの他にも、ProMicro(カリフォルニア州ポーウェイ)やポーランドのOptimus、Verari Systems(旧RackServer)などの企業も存在する。またMellanoxやSuperMicroなどのコンポーネント専門企業もこの市場に参入している。
「こうした企業は、大きな影響力を得つつある」とNational Center for Supercomputing Applications(NCSA)の暫定ディレクター、Robert Penningtonは言う。「5年前には、2、3社の小規模企業がLinuxクラスタに取り組んでいたが、当時は実験の域を出なかった」
NCSAでは、これまでに2つの主要なLinuxクラスタを導入しており、現在さらにもう1つ大規模なものを入れようと検討中である。
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