ほとんど無名の公益団体が先週、Microsoftが保有するWindowsのファイルシステム関連特許に関して、この取り消しを求める請求を米国政府に提出した。
Public Patent Foundation(PPF)は15日、FAT(File Allocation Table)ファイルシステム関連でMicrosoftが保有する特許1件について、米国特許商標庁に取り消しを請求した。これは、Windowsがファイルの保存に利用する2つの主要システムのなかで古い方にあたる。
Public Patent Foundationを設立者で、現在事務局長を務めるDan Ravicherはインタビューの中で、「われわれは、Microsoftが自社の一連の特許を利用して、無償やオープンソースのソフトウェアで競合するベンダーを市場から閉め出す可能性を懸念している」と語った。
FATファイルシステムは、Windows PCへのファイル提供にこれを利用するLinuxベースのSambaサーバのほか、フラッシュメモリドライブやデジタルカメラなどで、幅広く利用されている。
規制当局は、Microsoftに対し、Windowsの通信プロトコルの一部を他社にライセンスするよう指導しているが、同社には他の知的財産もライセンスするよう圧力がかかっている。Microsoftは昨年、FATファイルシステムを妥当な条件でライセンスする意向を明らかにし、フラッシュメモリメーカーのLexar Mediaが最初のライセンシーになると発表した。しかし、Microsoftに支払う利用料が少額であっても、オープンソース ライセンスで配付するソフトウェアでは折り合いが付かない、とオープンソースコミュニティの一部は主張している。
「無償やオープンソースのソフトウェアでは、どんな著作権使用料も妥当とはいえない」 (Ravicher)
Microsoftのある関係者は、同社がPPFの訴状の詳細に目を通していないとしながら、FAT関連の知的財産についてはIT業界の他社の要請を受けてライセンス供与を開始している点を強調した。
「われわれは、この団体のことをよく知らないし、彼らがこの特許に関心を寄せている理由も不明だ。企業各社が相互運用性の向上を目指してMicrosoftにFATの仕様や特許のライセンス供与を要請しており、われわれもライセンス契約を多数結んでいる」とこのMS関係者は語っている。
Ravicherは、同氏の団体がこの特許を選んだ理由は、これがFAT関連特許で最も古かったためだとしている。
「通常は、最も古いもの(特許)が最も範囲が狭く、無効を証明することも最も難しい。もしこの特許が無効となれば、残りすべての特許の解決の糸口になると考えている」(Ravicher)
Ravicherは、PPFが昨秋創立されたこと、ならびに特許システムに存在する欠陥を修正するのが同団体のねらいであると説明している。さらに、これまでバイオテクノロジー分野で認められたさまざまな特許に関し、その有効性を問いただす動きに出ているとも付け加えた。ちなみに同団体の専従職員はRavicherただ一人だが、多数の弁護士や特許審査官がパートタイムのスタッフとして同グループのために働いていると同氏は述べている。
「われわれは特許システムという考えに反対しているのではない。ただその欠陥に異議を唱えているのだ」(Ravicher)
なお、Free Software Foundationの顧問弁護士を努める法学教授のEben MoglenもPPFの外部ディレクターとして名を連ねている。同団体はEchoing Green Foundationからの資金を得て活動を開始したとRavicherは述べている。
今回のMicrosoftの件に関しては、PPFは「先行技術」の新たに見つかった例を提出したとRavicherはいう。先行技術が見つかれば、ある技術に認められた特許が無効になると同氏は考えていると語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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