市場調査会社のIDCによると、サブスクリプション形式のライセンス契約導入を検討するソフトウェアベンダーがますます増えてきており、またその背景には従来の販売方法の見直しを求めるユーザーや投資家の要求があるという。
米国時間23日に発表された同レポートは、2010年までに、多くのソフトウェアメーカーでは売上の大半が永続的ライセンスではなく、サブスクリプション契約によってもたらされるようになると結論づけている。IDCが調査したソフトウェアベンダー100社の約43%は、サブスクリプション形式のライセンス契約が、今後6年で販売の大半を占めるようになると答え、また調査対象となった100社のエンドユーザーのうち、26%がこれに同意した。IDCによれば、調査に協力したソフトウェアベンダーの75%は現在、永続的ライセンスを採用しているという。
同レポートをまとめたIDCアナリストのAmy Mizoras Konaryによれば、いくつかの要因がこの大きな変化に拍車をかけているという。ソフトウェアメーカーが最も気にかけているのは、先々の売上を予測しやすくすることだが、永続的ライセンスは長期間にわたるものであることから、これを正確に予想するのは困難だと同氏は指摘。しかし同時に、IT予算をもっと柔軟に使いたいと考える顧客の声に各社が耳を貸し、顧客の不満をなだめようとしているとも付け加えた。
「ソフトウェアベンダーにとって大事なことは、正確な売上予測を立てることだが、ユーザー側にはソフトウェアのライセンス価格が、実際に得られる価値と見合っているかについて認識のずれがある」とMizoras Konaryは述べた。
同アナリストは、自社がホストするアプリケーションをサブスクリプション形式で販売するSalesforce.comのような企業の出現に加え、顧客の間に見られるソフトウェア購入パターンの変化が、永続的ライセンス離れに拍車をかけていると考えている。エンドユーザは一般に、これまでソフトウェアを買い込みすぎる傾向があった。これらのライセンス契約は永続型のモデルに基づいたものだったが、現在の経済環境のなかでは、ほとんどのユーザーが同じパターンで購入を続けたいとは思っていないと、同氏は説明している。
IDCは、サブスクリプション形式でのライセンス契約への変化を促す、もう一つの重要なクライアント側の問題として、契約管理の複雑さを挙げている。同社の調査によると、中規模から大規模の企業では、平均して40以上のソフトウェア契約を抱えているが、そのうち70%の企業がこれらの管理業務が一層複雑になると予想しているという。永続型モデルに関連するソフトウェアライセンスの問題の一部を取り除くことで、サブスクリプションモデルはこれらの契約を管理するのにかかる経費や人手を節約できるようになると、Mizoras Konaryは述べている。
「ベンダーが顧客に対してできるだけ多くのソフトウェアを押しつけようとし、契約が済むとまた別の案件を狙うというような、これまでの敵対的な販売モデルはすでに過去のものとなりつつある」と同氏は述べ、さらに「現在のソフトウェア市場では、売り上げは横ばいを続け、ユーザー側は交渉の道具にオープンソースソフトを持ち出してくるといった状態だ。この状況がライセンス形態の全面的な見直しを迫っている」と付け加えた。
だが、同氏の予想では、サブスクリプション形式へのシフトは一朝一夕に起こるものではないという。ソフトウェアベンダーを巻き込む数多くの障壁が永続型モデルからの移行を阻害しているが、そのなかには販売チャネルのバートナー企業や、報奨制度、全体的な売り上げへの懸念などがある。Mizoras Konaryはまた、多くの企業が特定の製品や顧客向けに永続型ライセンスを提供し続けながら、そのオプションとしてさまざまな形の契約を結ぶようになると指摘している。実際、一部のベンダーではすでにサブスクリプション形式のライセンスをオプションとして提供しているが、しかし表立っては宣伝していないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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