サンフランシスコ発--インターネットバブルが終わり、Y2K問題も過去のものとなったが、ソフトウェアプロバイダーに対する顧客企業の懐疑的な見方は変わっておらず、そのことからソフトウェア企業のなかには自社のビジネスのやり方を変えているところもある。
これは、少なくともMercury InteractiveやAgile Softwareなどソフトウェア企業4社の経営陣が口にしたメッセージだ。彼らは今週Sand Hill Groupが開催した「Software 2004」カンファレンスのパネルディスカッションに参加し、エンタープライズソフトウェアの販売とマーケティングについて意見を述べた。
4人のなかでも最も声高に意見を表明したのは、Mercuryのマーケティング担当責任者のChristopher Lochheadで、ソフトウェア企業に対する顧客満足度を高めるためのインセンティブがほとんどない現在の価格体系や、業界全体に見られる見当違いなマーケティングなどに批判を加えた。
「従来のエンタープライズソフトウェアに関する販売モデルは滅びつつある、というのが私の考えだ」と同氏は述べ、さらに「ソフトウェア業界は変化に適応できていない」と付け加えた。
Lochheadの意見では、業界の抱える問題は、一握りの非常に強力な企業に支配されており、そうした企業が顧客との取引条件を一方的に決めてしまっていることだという。恒久的なライセンスモデルもそうした条件の1つで、Lochheadの考えでは、それがパンチカードと同じ運命をたどるべきだという。恒久的なライセンスモデルとは、ソフトウェアベンダーが顧客から、まず導入時に高額のライセンス料を徴収し、導入後も技術サポートとアップグレードの権利を与えるとの名目で、継続的に小額の料金を集めるというやり方を指している。
証券アナリストらは、「新たなライセンスの売り上げ」の数字にばかり着目している。これは、金融業界がこの数字を成長のバロメーターとみなしているからだ。その結果、多くの上場ソフトウェア企業が大型取引の獲得を重視し、導入後の保守料金徴収や顧客満足を当たり前のものと考えてしまっている、とLochheadは説明した。
これに比べると、サブスクリプション形式のライセンスのほうが好ましいと、Lochheadは述べた。このやり方なら、顧客は月単位もしくは年単位でソフトウェアの利用権を更新し、その都度料金を支払えばよくなる。同カンファレンスの大きなテーマだったこのモデルは、「あめと鞭」の仕組みを提供し、サプライヤーは契約更新のために顧客を満足させ続けなくてはならなくなる。IT関連の購入担当者は、売り込みには一生懸命になるが、納入後はほったらかしという大手ソフトウェア会社の姿勢を、長い間嘆いている、と同氏は語った
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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