サンフランシスコ発--Sun Microsystemsは、顧客が所有している機器の台数によって使用料を請求するという、ユーティリティコンピューティングソフトウェアの新たな課金方式を検討している。
さらに、同社幹部は11日(米国時間)、Sunが自社のユーティリティコンピューティングソフトウェアの製品名を「N1」から「N1 Grid」に変更したと述べた。Sunは、N1を現状の高性能のマネージメントソフトウェアから、多数の企業がコンピュータの処理能力を共有するという、さらに壮大な構想の中枢部分へ発展させることを計画しており、製品名の変更はこの狙いをよりよく反映させるためのものだ。
11日に当地で行われたアナリスト向けの会議のなかで、Sunのソフトウェア担当の最高幹部であるJonathan Schwartzは、N1ソフトウェアの利用に関して、顧客企業にコンピュータ関連機器1台あたりの年間固定費を請求するという、新たな課金方式を検討していると述べた。同氏は、この方式を顧客企業の所有する機器全てに適用するか、あるいはN1ソフトウェアに関係する機器のみに限定するかについては言及しなかった。
「我々は、Java Enterprise System(JES)を発売して、多くのことを学んだ」と、Schwartzは語った。Sunは、このサーバソフト使用に対し、顧客企業に従業員1人あたり年間100ドルを課金している。同氏によると、顧客は年間のコストが予測できることを強く望んでいるという。
ハードウェア1台ごとの課金となれば、顧客企業は自社所有の機器の台数を常に把握していなければならない、とSchwartzは述べ、これはサーバのみでなく、ストレージシステムやネットワークルータ、暗号化アクセラレータ、ロードバランサなどの機器も課金の対象となると付け加えた。
SunのN1 Gridは、主にIBMのオンデマンド技術や、Hewlett-Packard(HP)のAdaptive Enterpriseと競合している。これら3社は、技術をできるだけ早く製品化するために、複数のスタートアップ企業を買収してきた。なお、この他にVeritasやMicrosoft、Computer Associatesなどの企業が、同分野で競合している。
ユーティリティコンピューティング構想では、設定した時間制限内にタスクが処理されるように、ハードウェアが自動的に処理能力を調整をする。このようなSLA(Service Level Agreement)」を実現するためには、企業のニーズに合わせてハードウェアを即座に再構成できるという、通常よりも格段にフレキシブルなタスク処理のためのインフラが求められる。そして、この柔軟性が、将来企業間でのコンピュータ処理能力の貸借を可能にする。
このビジョンを突き詰めると、やがてコンピュータの処理能力も、電気や水と同様にその都度必要な分だけ購入することが可能になる。
Schwartzは、最近金融業界の幹部と話をした際に、もし週末の間に余っている計算能力を売ることが可能になったとしたら、そうするつもりがあるかどうかを尋ねたところ、セキュリティの障壁が十分強力で外部者が勝手にアクセスできないようになっていれば、やってみてもいい、という返事が返ってきたと語った。
Schwartzは、SunがN1で、ハードウェア1台につきどの程度の金額を請求しようと考えているかについては明らかにしなかった。おそらく同社は、JESの場合と同様に、競合他社へ圧力をかける目的に、そうした価格設定を利用しようとする可能性が高い。
ちなみに、IBMのTivoli Intelligent Orchestratorの価格は2万ドルからとなっており、管理するサーバの台数が増えるとさらにコストがかかるような料金体系だ。
Sunは現在、一部のN1 Gridソフトウェアでは、サーバ1台につきいくらという課金方式をとっている。たとえば、同社が2003年にCenterRunを買収して手に入れたN1 Grid Service Provisioningの料金は、1サーバあたり1800ドルから2500ドルとなっているが、しかし同社では、3月に発売開始するUltraSparc IV搭載の新しいサーバでは、販売促進として1サーバあたり1000ドルでこのサービスを提供する予定だと、N1 Gridのマーケティング担当ディレクターYael Zhengは説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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