Linuxの敵とされるSCO Groupが訴訟範囲を変更し、IBMに求めた損害賠償金の請求額に、さらに20億ドルを上乗せしようとしている。
SCOは米国時間6日、ユタ州ソルトレイクシティーの米国連邦地裁で開かれた口頭弁論直前に提出した修正訴状の中で、IBMに対する訴因を新たに2件列挙し、それぞれにつき最低10億ドルの損害賠償を求めた。この変更により、IBMに対する請求額の合計は約50億ドルに達した。これまで賠償請求額は30億ドルに設定されていた。
6日の口頭弁論は開示手続きを中心に進められたが、このプロセスでは両当事者が裁判の中で明らかにする意向の証拠を提出するよう求められる。IBMと裁判所は、これまでSCOに対して、著作権侵害の疑いがあるとされる具体例を明らかにするよう求めてきていた。SCOは声明の中で、両当事者共に6日には開示を強制する動議を提案し、裁判所は1週間以内にこの件に関する判断を下す見込みだとしている。
SCOは修正訴状のなかで、IBMがLinux開発の取り組みを通じて、SCOの保有する業務上の機密を不正流用したとの先の申し立てを取り下げているが、これは元の訴状の大部分を占めていた部分だ。そのため、今後の争点はSCOが管理するコードから派生した成果物を、IBMが契約に違反して作り出したという点と、新しい著作権関連の主張が中心になってくる。
先に伝えられたように、SCOがIBM裁判に提出した最新の修正案には複数の申し立てが新たに組み入れられている。その中の1つは、SCOがIBMのLinuxライセンスを停止した後も、Unixとその派生製品--Linuxを含む--の配付を継続して、IBMがSCOの著作権を侵害したという主張だ。
修正後の訴状によると、IBMの「ライセンス供与停止後の行動は、SCOの持つ著作権の侵害行為にあたり、またそうした侵害行為を引き起こしたことで、SCOおよびその前身にあたる法人の著作権登録侵害の一因となった。このような行動は、SCOに著作権があることを知りながら、故意に行われたものだ」という。
SCOはまた、現行のLinux製品が自社の著作権を侵害しているとも断定した。同社は訴状のなかで、「Linux 2.4.x、2.5.x、そして2.6.xの各リリースの中には、著作権で保護されたUnixのコードなどが大量に含まれており、このことはSCOの保有する契約上の権利および著作権の侵害にあたる」と述べている。
IBMに対する訴訟では、SCOは当初著作権の部分は一切放棄し、IBMの契約違反の疑いを中心に争っていた。
この主張の変更に関して、IBMのある関係者は、新しい主張を追加したり、業務機密に関する容疑を取り下げたりするというのは、SCOの主張の弱さの現れだと語った。
「SCOはこれまで、自社にはIBMへのUnixライセンス契約を解除できる権利があると主張しており、我々はこの点に強く異議を唱えていた。今回SCOが提起した著作権侵害の主張は、 単にこの主張を引き継いだものに過ぎない。IBMは引き続き、SCOの主張には考慮すべき点は何もないと考えており、また自社の反訴を続けていく」と、同社は声明の中で述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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