Sun Microsystemsは、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronチップを、同社のローエンドサーバ戦略の中心として採用しようとしている。同社では、この戦略の第1弾となるデュアルプロセッサのシステムを2月中に発表し、その後には4プロセッサ、8プロセッサのシステムも登場させる。
この計画に詳しい筋によると、Sunは2月10日(米国時間)にサンフランシスコで開催する同社の2004年第1四半期のニュースイベントで、デュアルOpteronマシン「v20z」を発表するという。このサーバの価格は、3000ドル以下からになる見込み。このニュースイベントでは他にも、Sunがハイエンド製品で同社の新UltraSparc IVプロセッサを採用することに関し、詳細を明らかにする予定だ。
SunはOpteronシステムの導入により、UltraSparcマシンしか販売せず、AMDやIntelの「x86」チップを斥けてきた昔のやり方から、大きく方向転換したことを印象づけようとしている、とSunのVolume Systems Productsグループのエグゼクティブバイスプレジデント、Neil Knoxは述べている。
「我々が、この製品シリーズに極めて真剣に取り組んでいることを顧客に示すのは、大変重要なことだ」とKnoxは先週のインタビューのなかで述べた。
今日販売されているサーバの大部分は、Hewlett-Packard(HP)やDell、IBMなどが出しているIntelベースのマシンであり、Sunはこの市場で出遅れたことを認めている。Knoxによると、SunはOpteronの採用により、競合他社との差別化を図りたい考えだという。これと対象的に、SunはIntelのXeonチップにはそれほど積極的ではなく、Xeonチップ搭載マシンはデュアルプロセッサ仕様でのみ販売されると、Knoxは話している。
Knoxはv20zの発表に関するコメントは差し控えたが、今年第1四半期にデュアルプロセッサシステムを出荷し、その後4プロセッサと8プロセッサのOpteronシステムをリリースすると述べた。
「我々は今四半期に製品リリースを開始し、今年の残り3四半期にもそれぞれ製品をリリースする」(Knox)。Sunが2004年中に8プロセッサマシンをリリースするかどうかについては、同氏はコメントを差し控えた。
Opteronが、Sunのよりハイエンドな製品シリーズに進出すればするほど、サン独自のUltraSparc製品と重複することになる。しかし特に、SunのSolarisに似た、Unixライクなオペレーティングシステム(OS)を求める人々がLinuxを採用していることなどから、Sunはすでに競合企業のIntelサーバに売上を奪われている。
Sunにとって、AMDとの提携は、冷え切ってしまった関係のIntelを相手にするよりも受け入れやすいものかもしれない。
Opteronは、特にチップ内部の通信技術のおかげで、安価に複数のプロセッサを搭載するコンピュータが構築できることから、Intelにプレッシャーを与える可能性がある、とIDCのアナリスト、Mark Melenovskyは述べている。「Opteronは4ウェイ(4プロセッササーバ)市場で、驚きの価格を実現するかもしれない」(Melenovsky)
Sunが抱える課題
しかし、Sunには困難な問題もある。まず、同社はまだx86サーバ事業でそれほど実績がない。市場調査会社Gartnerのまとめた暫定的なデータによると、Sunが初のXeonサーバをリリースしてから6四半期めとなる2003年第4四半期の時点で、同社はまだ32ビットx86サーバの出荷台数上位10社の中に入っていない。Gartnerのデータでは、第1位のHPの出荷台数は44万2976台、第10位の日立は7340台だという。
また、SunにはOpteronを独り占めできないことから、Opteron市場で他社と競争しなくてはならないという問題もある。IBMは数カ月前から、技術的な用途にコンピュータを使う顧客にe325システムを販売しており、情報筋によると同社はまもなく、一般顧客向けに同システムをリリースする計画だという。またHPもOpteronサーバを販売する計画との情報がある。
一方Intelは、PentiumとXeonシリーズに64ビット機能を追加する計画だ。これでOpteronはもはや唯一の64ビットx86チップではなくなることになり、IntelがDellなどのメーカーとの提携を強化し、SunのOpteronシステムに匹敵する製品がリリースされる可能性もある。
Sunには、自社以外の企業が設計したハードウェアを販売することに適応する上で、社内にも課題を抱えている。同社は統一された単一の製品シリーズの開発に集中できることから、自社製のハードウェアとソフトウェアのほうがよいとして、長年にわたり自社のUltraSparcをベースにしたシステムだけを売り込んでいた。
しかし、Sunは8プロセッサシステムで、早くからOpteronを支持してきた他企業をリードする可能性がある。「SunはIBMの勢いを削ごうとしているのだと思う」とSageza Groupのアナリスト、Charles Kingは言う。
しかしKingは、Opteronをめぐる競争は余興のようなものだと考えている。IBMとSunのより大規模な競争は、IBMのPower5ベースのサーバとSunの新UltraSparc IV搭載サーバが競合する2005年以降になりそうだ、とKingは述べた。
UltraSparc IVシステムとは?
SunのEnterprize Systemsグループでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるClark Mastersは、昨年12月に行われたインタビューのなかで、2月の同イベントでUltraSparc IV搭載システムを発表するのが目標だと述べていた。
SunはUltraSparc IV搭載サーバを今年前半に出荷すると公約している。
UltraSparc IVは、一片のシリコンにUltraSparc IIIプロセッサを2基収めたもので、この新しいチップはUltraSparc IIIと同じソケットに挿入できるため、実質的に一台のマシンに搭載できるプロセッサの数を倍増させられる。つまり、最上位機種のE15Kでは、業務用に設定された場合144基に相当するプロセッサを収容できる。Mastersの話では、Sunはまずハイエンド向けのシステムでUltraSparc IVを導入するという。
UltraSparc IVは、発売当初は1.2GHzの動作速度で、UltraSparc IIIに比べ1.6倍から2倍の処理能力を持つと、Sunは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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