Sun Microsystemsは20日(米国時間)、データセンター向けのスイッチを製造する新興企業のNauticus Networksを、全額現金で買収する計画を発表した。
Nauticusは、サーバとセキュリティ機器間のトラフィックのバランスをとり、SSL(Secure Sockets Layer)トラフィックを加速する、高性能のコンテンツスイッチを製造する新興メーカーだ。これらのスイッチは、Open Systems Interconnection参照モデルのLayer 7にあるアプリケーション固有の情報を使って、インターネットプロトコルパケットを検証できるため、Layer 4-7スイッチと呼ばれることが多い。
社内開発したチップセットを搭載するNauticusの製品は、処理速度を高速化することで、現行のロードバランシングとSSLアクセラレーション技術を追い越すことになると期待されていた。この新製品は「仮想化」のための性能を改善するため、導入したユーザーは各顧客ごとにスイッチのリソースを分配できるようになる。つまり、この製品を使うことで、たとえばデータセンターの運営者は、単一のスイッチ(ハードウェア)内に、複数ののスイッチをつくり出すことが可能になるということだ。
Sunのボリュームシステム製品グループマーケティングマネジャー、Kathy Priesによれば、同社は仮想化技術を自社のサーバプラットフォームに統合する計画だという。しかし、SunがNauticusのN2000とN2000Vスイッチを販売するかどうかは、まだはっきりしていないと、同氏は述べた。
「我々は、Nauticusの技術を、データセンターのフロントエンドで、より密接に統合されたコンピューティング環境を提供することに役立てられると考えている。同社の現行製品をSunブランドで販売するかどうかは、まだ決めていない」(Pries)
Priesはさらに、データセンターに特化した新しいコンサルタント部門である、SunのN1イニシアティブを強化する目的にも、Nauticusの技術を利用できそうだと述べた。SunはN1を通じて、大手システムインテグレータの役割を果たし、顧客企業がさまざまなメーカーのハードウェアやソフトウェアを使って、ネットワークを構築する支援を行っている。
「Nauticusのネットワーク管理技術および仮想化技術は、N1を強化し、補完することにも利用できる」(Pries)
N1の構築のために、Sunが獲得した新興企業は、Nauticusが初めてではない。同社はCenterRun、TerraspringとPirus Networksも獲得している。
Hewlett-Packard(HP)やIBMが、N1と類似する「ユーティリティコンピューティング」のプロジェクトを進めるなかで、こうした競合との厳しい競争に直面しているSunは、N1イニシアティブを成功させなければならないというプレッシャーにさらされている。同社はまた、Intelのようなライバルメーカーが、同社の中核であるサーバハードウェアビジネスに食い込んできているため、新たな市場を開発する必要にも迫られている。
今回の買収について具体的な金額は明らかにされていないが、Sunは非常に有利な取引を成立させた可能性が高い。Nauticusは、ベンチャーキャピタルから3850万ドル以上の資金を調達しているが、ネットワークの負荷を調整するスイッチの市場は競争が激しく、同社は存続が危ぶまれていた。実際に10月には、新たな資金調達ができずに、活動を停止するとの噂も流れていた。同社のウェブサイトはいまでもアクセス可能な状態だが、電話での問い合わせに対する返事はすぐには返ってこなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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