米Novellは今週、独SuSE Linuxの顧客に対し、同社のオープンソースOSの使用に関する法的保護の提供を開始する予定。米SCO Groupからの訴訟の脅威に対抗すべくコンピューティング企業が法的補償を提供するのは、Novellで4社めとなる。
Novellの最高経営責任者(CEO)、Jack Messmanによると、同社は総額2億1000万ドルのSuSEの買収が完了次第、直ちに法的補償を提供する計画だが、この買収は12日(米国時間)に完了する予定。またMessmanは、米IBMから受けとる5000万ドルの投資はまだ完了していない、と付け加えた。
SCOがUnixとLinuxに対して行っている訴訟行為の波紋は、業界全体に及んでいる。しかし今回のNovellの措置は、SCOの行為に対する対応を典型的に示すものだ。調査会社米IDCのアナリスト、Al Gillenは、「この問題を脇に押しのけようという意図で、多くの支援が寄せられているようだ」と語った。
米Hewlett-Packard(HP)も補償を提供している1社だ。また米Red Hatは、オープンソースプログラマーたちを保護するための、法的保護基金を設立した。さらに米Intel、IBM、米MontaVista Softwareの3社は12日、Linuxの推進を目的としたコンソーシアム、Open Source Development Labs(OSDL)がLinuxの顧客をSCOの法的措置から保護するために設立した1000万ドルの法的保護プログラムに対し、資金を提供した。
Novellは、顧客が著作権侵害で訴えられた場合の補償として、総額150万ドルを提供する予定だ。この額は同社製ソフトウェアの販売総額の1.25倍に当たる。Messmanによると、保護を受けるには、同社からSuSE Linuxソフトとサポートを購入し、ライセンス契約に署名することが条件という。
米Gray Caryの知的所有権担当弁護士、Mark Radcliffeは、(Novellの)計画によって、Linuxの顧客はSCOに対して脅威を感じなくなる、と指摘する。
Radcliffeは、「今後SCOは、ライセンシーに対してますますプレッシャーをかけづらくなるだろう」と述べ、さらに「Novellが法的補償の提供を決めたのだから、他の企業も、好むと好まざるとに関わらず、補償を提供せざるを得なくなるだろう」と語った。
Radcliffeによると、訴訟による損害は原告の利益損失に基づいて算出される可能性があるため、顧客に対する補償額は、ソフトウェアの購入価格の100%というのが一般的だという。
Novell以外にも法的保護プログラムを実施している企業はあるが、自らUnixを所有していた企業が保護に乗り出すのはNovellが初めてだ。SCO Groupは、LinuxがUnix OSの著作権を侵害していると主張している。一方Novellは、Unixの著作権の重要部分の所有権が未だに同社に帰属していると考えている。
Messmanはあるインタビューの中で、「我々は、Unixに関する他にない権利を有していた。そして、それらの権利が今回の補償プログラムの強固な土台となっている」と述べた。
「我々は顧客と共に、Unix技術を使用するためのライセンスを取得している。このライセンスがあれば、我々はLinuxに使用されている可能性のある、いかなるUnixコードも使用できる。我々は(LinuxにUnixのコードが)使用されているとは考えていないが、仮に使用されていたとしても、我々はそれらを使用できるし、また我々の顧客にも使用を認める」(Messman)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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