米IBM幹部が、4日(米国時間)に行われた金融アナリスト向けの説明会で明らかにしたところによると、同社は各業界に特化した業務専門知識を使って、さらに大きな法人需要の獲得を狙う戦略を加速させているという。
IBMの最高財務責任者(CFO)、John Joyceは、同社がIT業界の「劇的かつ大規模な変化」を活用できる位置にいると述べた。同氏によると、技術関連の製品をバラバラに購入するのではなく、具体的なビジネス上の問題に対応したパッケージソリューションを探し求める法人顧客が増えているという。
「IT分野での境界線がシフトしており、我々はそれを活用できる良い位置にいる。この市場で勝ち抜くには、ビジネスプロセスの専門知識とITに関する専門知識を組み合わせられる能力が必要だ」(Joyce)
IBMの幹部らは、企業によるIT関連支出の見通しについて、具体的なコメントはしていない。だが、先頃同社が300社の最高経営責任者(CEO)を対象に行った調査では、企業幹部がコストの削減だけでなく、売上を伸ばすことにも関心を示し始めていることがわかったという。 「複数の企業が、リスクを取り始めた」(Joyce)
IBMが推進するオンデマンド構想は幅広い分野にまたがるものだが、IBMの調査にもこの構想が反映されている。この結果をみると、各社のCEOは自社のコンピューティングシステムを、さらに柔軟で、ネットワークをうまく活用できるものにしたいと考えていることがわかる。
IT関連支出のパターンがシフトし、複数の技術を組み合わせたパッケージの形で購入する例が増えていることを受け、IBMではこの変化を利用しようと、ますます多くの自社製品を組み合わせて販売している。さらに、同社は営業部隊の保有する垂直業界の専門知識も深めていると、同社幹部は述べている。
IBMの戦略担当上級副社長、Bruce Harreldは、「ERPやCRMのような汎用性の高い業界アプリケーションから、業界毎に大きく特化したアプリケーションへと向かう、大きな変化が起こっている」と語った。
IBMでは、自社の持つインフラ技術を、各業界に特化したコンサルティングサービスと一緒に販売することに重点を置いており、これによって新たな機会が生まれると、同社では説明している。
こうした機会の一例としては、IBMが12〜13%の成長を見込んでいる、ビジネスプロセスのアウトソーシングサービスの分野が挙げられる。これは、企業の人事や財務管理などのビジネスプロセスをIBMが引き受けるもので、さまざまなプロセスについて、それぞれ複数の「鍵を握る顧客企業」を抱える同社は、こうしたアウトソーシング事業が1500億ドル規模の市場になると考えている。
IBMビジネスコンサルティングサービス部門のマネージングパートナー、Ginni Rometは、「我々は、市場で根本的な変化が起こっており、そのためにビジネスに関する戦略ととIT戦略を区別しても意味のない状態になっている」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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