ラスベガス発--米IBMと米Microsoftの幹部は17日(米国時間)、Nicholas Carrというコンサルタントの唱える説を攻撃した。Carrは、Harvard Business Review誌に『IT Doesn't Matter(ITは重要ではない)』というタイトルの論文を発表して以来、IT業界の悪役となっている。
Carrはこの記事のなかで、ITは標準化とコモディティ化が進んでおり、もはや企業に長期的な競争優位性を与えるものではなくなったと主張。それゆえ、技術は成熟するまで待って購入すべきで、登場間もない段階で割高な値段を出すのは、他社に任せておけばよいという。
Carrは、当地で開催中の、Comdexのパネルディスカッションに登場し、次のように述べた。「アーリーアダプタは常に、後を追うフォロワーよりも高い金額を支払うため、投資を取り戻すための時間はますます短くなっている。企業の多くは、IT導入に関してもっと保守的になるべきで、ほとんど受け身なくらいでもいい」(Carr)。
Carrのこうした発言は、MicrosoftでOffice担当のグループバイスプレジデントを務めるJeff Raikes、そしてIBMのPCグループのマーケティング担当バイスプレジデント、Deepak Advaniの二人には、不本意だったようだ。
「ITが企業の差別化に役立てる点は、数多く存在している」とRaikesは反論し、米Wal-Marがサプライヤ各社に対して、商品追跡用のRFIDタグの導入を求めている例を挙げた。「Wal-MartによるRFID採用は、同社がどの分野でITを重視しているかを示すよい例だ」(Raikes)
IBMのAdvaniも、Raikesの意見に賛同。「自己満足して、気を抜くのは危険だ。ITは絶対に重要だ。むしろ、これまで以上に重要になっているといっていい」。
Carrは、先の記事を発表した後、ある種の有名人となり、現在は『Does IT Matter?(ITは重要か?)』という題名の著作を執筆中であるという。また、今年9月には米Sun MicrosystemsのCEO、Scott McNealyとも議論を戦わせている。McNealyは、AdvaniやRaikesに負けず劣らず、新しい技術に対して情熱を抱き、また当然ながら既得権がある。
ITは、米FedExや米Charles Schwabなど、動きの速い企業と競合する企業が取り残されないための、唯一の手段だとAdvaniは述べた。
技術が重要である2番目の理由は、優れた才能を雇えることだとRaikesは言う。「成功している企業は、一面で、素晴らしい才能を獲得することで戦っているともいえる。スタッフが最高レベルの仕事を実現できる情報インフラを持たない企業が、そのうちに最高の才能を維持できなくなることは間違いない」(Raikes)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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