米IBMは14日(米国時間)、同社のスーパーコンピュータ、Blue Gene/Lの性能を初めて披露する。Blue Gene/Lは食器洗い器ほどの大きさで、毎秒1兆4000億回の計算処理が可能。
今月16日に発表される世界最速のスーパーコンピュータ500台のランキングによると、Blue Gene/Lの処理速度は世界第73位にランクされる。IBMは、2005年にBlue Gene/Lの1024基のプロセッサをアップグレードし、ほかの127台のBlue Gene/Lと接続する予定で、それまでに世界最速の座を手にしたい考えだ。
Blue Gene/Lは、遺伝子研究の難解な計算問題に取り組むIBMのプロジェクトの第1段階として開発された点で、やや特種なコンピュータといえる。この遺伝子研究では、物理法則を使って、重要な生化学的成分であるタンパク質が、長い鎖のような基礎的ブロックから、どのように組み合わさって複雑な構造を形成をするかを予想する。
IBMのDeep Computing Instituteのディレクターで、同プロジェクトを監督しているBill Pulleyblankによると、現在、Blue Gene/L専用プロセッサのクロック速度は700メガヘルツだが、来年には40%速くなるという。同社は、最大64のラックマウント型マシンを組み合わせて、およそ13万1072基のプロセッサを動作させることができるが、このフル構成にしたシステムで、36万ギガフロップス(毎秒360兆回の浮動小数点演算を実行)という処理速度の達成を目指している。
IBMが進めるBlue Geneプロジェクトは、スーパーコンピューティングの可能性拡大を目的とした野心的なプロジェクトで、処理速度が1ペタフロップ(毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行)のシステム開発を最終目標に置いている。目下の最速機はNECのEarth Simulatorで、その処理速度はペタフロップのおよそ30分の1とやや遅いが、米政府に自国がコンピューティング分野で日本に遅れを取りつつあると憂慮させるには十分な速さだ。
IBMのBlue Gene研究プロジェクトは学問的側面もあるが、同社の究極の目的は利益の獲得にある。現在同社は、47億ドル規模の高性能技術コンピュータ市場で、Hewlett-Packard(HP)に次ぐ第2位のシェアを誇っている。市場調査会社のIDCによると、2001年から2002年にかけて、IBMの売上げは10億4000万ドルから13億3000万ドルへと28%増大したのに対し、HPの方は21億ドルから15億8000万ドルへと25%も低下した。
IBMはBlue Gene/Pと名づけたスーパーコンピュータで初めてペタフロップの処理速度を達成する予定だ。また同社は「Cyclops」と呼ばれる別のBlue Geneコンピュータの開発を計画している。このCyclopsでは、各シリコン上に数多くのプロセッサを搭載したチップが使用される見込みだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」