米IBMと、国土防衛省や国立科学財団をはじめとする政府各機関が、米国のスーパーコンピューティングの将来や特定スパコンのアプリケーションの性能向上などについて話し合いを行なった。
IBMは高性能コンピューティングのリーダー企業の1社で、高速スパコン上位500リストの処理能力の39%を占めている。連邦政府はスパコンを最も利用している機関の1つで、天体物理学研究や暗号技術、核兵器備蓄の監査などに活用している。
両者には共通点があるが、常に見解が一致するとは限らない。民間企業の多くは一般的に、将来広く商用化できる技術を基盤としてシステムを構築する。IBMでテクノロジー&マニュファクチャリング担当部門のシニアーVPを勤めるNick Donofrioは、「商用可能な技術だけを開発するつもりだ」と述べた。これと対照的に、政府機関は「市販の部品で構築したハイエンドコンピュータは性能面で物足りない」としている。また、「汎用部品で構築されたハイエンドシステムの開発には、より多くの時間がかかる」というNational Coordinating Office for Information Technology Research and Development(NITRD)の指摘もあり、政府には特定用途向けシステムの構築/開発への支援を行う可能性がある。
別の情報筋によると、「ワシントンの政治家の一部は、NECのEarth Simulatorの登場で、米国がスーパーコンピューティングで遅れを取りつつあることを危惧している」という。Earth Simulatorの性能が、他のどのスパコンよりも高いためだ。しかし、IBMパブリックアフェアー担当ディレクターのKathleen Kingscottは、「Earth Simulatorの優位性が強調され過ぎている」と述べ、「一般に普及している技術で構築したスパコンは、特定用途向けのシステムより優れた性能を持っている」と主張した。
IBMはローレンスリバーモア国立研究所のために、ASCI PurpleとBlue Gene/Lという2つのスパコンを開発中だ。Earth Simulatorと比べ、ASCI Purpleは4倍、Blue Gene/Lは10倍の性能を持つとされる。ASCI Purplは2004年に利用開始となる見込み。
Donofrioは、IBMと政府各機関がスパコンの基本的な需要と方向性についての解決策を模索していると述べた。例えば、性能の問題の一部は、ソフトウェアが市販コンポーネントで構築されたシステムで動作するように設計されていなかったことにある。また、一部の政府機関では、必要に応じて計算リソースを利用するオンデマンド・コンピューティングへの関心が高まっているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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