無名のコンテンツ保護特許を巡る論争が、米Microsoftにとって最も厄介な訴訟の解決につながる可能性がある。この論争に新たに加わった、デジタル権利管理(DRM)技術の開発元である米Macrovisionが明らかにした。
Macrovisionとライバルの米InterTrust Technologiesは、同種のDRM技術に関してそれぞれが保有する特許を巡り、論争を繰り広げている。これらはあまりにも似通っており、米国特許商標庁は数週間前、両社の特許が実際に同じ内容に言及しているのかどうか、そして保有者を1社に限定すべきかどうかを判断することに同意したほどだ。
「干渉審理」という特許商標庁によるこの詳細な調査は、特許侵害でMicrosoftまで訴えているInterTrustが数年前に要請していたものだ。InterTrustの主張によると、WindowsオペレーティングシステムからMedia Playerまで、Microsoftの事実上すべての重要なソフトウェアが、自社のコンテンツ保護特許を侵害しているという。
しかし、今度はMacrovisionが、ある特許に対する権利を勝ち取れれば、InterTrustが保有する知的財産の大部分を引き継げると主張している。そして、もしそうなった場合、MacrovisionにはMicrosoftを相手に裁判で戦うことに興味はないと、同社エグゼクティブ・バイスプレジデントのBrian Dunnは述べている。
「我々とMicrosoftとは友好的な関係にある。我々の目標は、特許のライセンス供与に関して関係者全員から合意を得ることだ。この市場を前に進めて行くには、それが必要だ」(Dunn)
InterTrustとMacrovisionとの間で繰り広げられている訴訟合戦は、ふだんから争いが多い傾向にあるDRMの分野でも極端な例だ。また、両社が予想 する裁判の結果は、それぞれが別の問題に言及しているかのように異なる。
InterTrustは、Macrovisionの主張を馬鹿げたものと呼んでいる。Macrovisionの特許はMediaDNAという現存しない会社から購入したものだが、MediaDNAは数年前、この技術の売却をInterTrustを含む多数のグループに打診している。InterTrustの最高経営責任者(CEO)Talal Shamoonによると、同社は当時この特許を検討したものの、購入は断ったという。
InterTrustはその後、MediaDNAの特許が自社の特許に一部抵触していると考え、連邦政府当局に対して、干渉審理においてこの特許を調査するよう依頼した。こうして2件の特許が、数週間の間に別々に出願されることになった。この干渉審理は、裁判官が直接判決を下す裁判と似たようなもので、両社の記録を審査し、どちらの会社がそのプロセスを最初に発明したのかを解明する。
しかし、この審理は旧MediaDNAの財産で現在Macrovisionが所有しているものだけを扱っており、InterTrustの特許については触れていない。また問題となっている特許は、InterTrustの持つ知的所有物の中核部分のうち、ほんの一部をカバーしているに過ぎないと、InterTrustは主張している。同社によれば、もし訴訟に負けたとしても、自社の主要な特許権には影響がないという。
それに対して、MacrovisionのDunnは、MediaDNAから同社に渡った特許について、InterTrustがその重要性を過小評価していると述べている。この特許は、あるファイルがデジタル形式で保護されるよう準備をする際のテクニックをカバーしているという。また、Macrovisionでは、特許商標庁に対して、InterTrustがはじめに起こした審理の範囲を拡大するよう依頼したと、Dunnは付け加えた。
「我々は、自社の保有する特許がDRM技術の中核にあると考えている。我々のこの権利を侵害せずにInterTrustのテクニックのかなりの部分を実践することはできないと信じている」(Dunn)
Microsoftはこの件に関するコメントを差し控えた。第3者の立場にある知的所有権専門の弁護士によれば、どういった結果になるかは、聞き取りのスコープを定め、時間の経過と共にそれを改めることもできる政府の係官に掛かっているという。
この難問に対して、すぐに簡単な答えが見つかるとは期待しないほうがいい。複数の弁護士の話では、特許庁による判定が下るまでに、何年もかかる場合があるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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