Linuxを率いるLinus Torvaldsが、まもなく登場する同オープンソースOSの2.6カーネルの開発を新たな段階へ進めた。今後は同OSの核となる部分のクラッシュ率低減だけを目指す。
Torvaldsは、Linuxカーネルのバージョン2.6.0-test7を米国時間8日にリリースした。同氏は、2.6開発でリーダーを務めるAndrew Mortonとともに、開発に参加するプログラマーらに対して、今後はプログラムコードの整理ではなく安定性の向上に集中するよう指示を出しているという。
「私とAndrewは、開発作業を落ち着かせようとしているので、ひと目でそれとわかるような本物のバグを修正するもの以外は、パッチも目にしたくない。別の言い方をすると、これでいろいろな物事が落ち着き、10月末までには“厳密には必要とは言えない”ものからの雑音もなくなって、2.6.0の安定した姿を目にすることができると思う」(Torvalds)
今回示された新たな優先順位を、真剣に受け止めている者もいる。LinuxのUSB関連作業を指揮するGreg Kroah-Hartmanは9日、プログラミング可能なLego玩具向けの赤外線通信デバイスをLinuxにサポートさせるための修正について、この追加を延期する方針をプログラマーに伝えている。
Linuxは、コンピュータサイエンス専攻の学生だったTorvaldsが、1991年に趣味として取り組み始めたものだが、次第に本格的なソフトウェアへと変貌し、米IBM、米Oracle、米Hewlett-Packard(HP)、独SAP、米Sun Microsystemsなど、世界最大級のコンピュータ関連企業でビジネス戦略のカギを握るまでになった。
このような変貌を遂げる間、Linuxの開発プロセスもより形式張ったものになって、決まったプログラマーが特定の作業を任されるようになり、新機能よりもコードの安定性が重視される傾向が強まった。また、Torvaldsを雇用しているOpen Source Development Labでも、社内の機能要求を開発の方に合わせている。
Illuminataのアナリスト、Gordon HaffはHP版UNIXを引き合いに出し、「一方で、HP-UXの開発などと比較すると、まだまだ適当な部分がある」と見ている。
Torvaldsは自分の仕事を同OSのカーネルだけに限定しているが、今日使われる「Linux」という言葉は、一般的にはXFree86のグラフィックスソフトウェア、KDEやGnomeのユーザーインタフェースソフトウェア、GNUプロジェクトからクローンUNIXまでのソフトウェアライブラリ、ユーティリティ、および開発ツールといった上位レベルのソフトウェアコンポーネントまでも含んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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