Linus Torvaldsが、現行Linux開発カーネルでは最後となるリリースを公開した。これで、Linuxカーネルの次バージョンへの取り組みがスタートすることになる。
1990年代はじめにLinuxカーネルプロジェクトを立ち上げたTorvaldsは、この7月10日(米国時間)に2.5.75カーネルを承認し、これが2.5シリーズでは最後のリリースとなると述べた。2.5カーネルは新技術の実験を目的とした開発プロジェクトで、ユーザーが利用する最終的な製品として2.6カーネルに統合される。
Torvaldsは、2.6カーネルのテストバージョンへの取り組みが、これから始まると述べている。「これが2.5.xカーネルの最後のものだ。注意して欲しい」と、Torvaldsはカーネル開発メーリングリストへの投稿に記している。Torvaldsはまた、彼と開発者のAndrew Mortonが「『pre-2.6』シリーズの開発に取り掛かる。このシリーズでは、パッチ充てがはるかに困難になる」とも述べた。Torvaldsは最近、Open Source Development Lab(OSDL)に参加している。
2.5.75カーネルには、長い時間をかけて開発された「予測スケジューラ」が統合され、英ARMや米Intelのチップ設計のアップデートも盛り込まれた。このカーネルに対する積極的な開発は一段落となり、同カーネルは今後、メンテナンスモードに入るため、同カーネルに今後新機能が追加される可能性は低い。
Torvaldsは6月に2.6カーネルをリリースするという目標は達成できなかったが、新テストカーネルは今後数日のうちにリリースされるだろう。それに続いて、2.6.0カーネル完全版がリリースされることになるが、それは数カ月は先の話だとTorvaldsは述べた。2.6.0カーネルがリリースされた後、Linuxディストリビュータが製品にカーネルを統合するのに、さらに数カ月かかる可能性が高い。
なお、米IBMは2.6カーネルを採用した製品を2004年前半に発売する予定だ、と同社幹部が6月に述べている。
Linuxは多数のプログラマがオープンソース活動のなかで共同開発している、UNIXに似たオペレーティングシステム(OS)で、当初は趣味として始まったものの、現在では世界中の多くの企業で利用されている。
たとえばIBMは先週、金融サービス会社のING CanadaがIBMのメインフレーム機z900を購入し、Linuxのアプリケーションをその上で走らせると発表。INGでは、このシステムをますます増えつつある保険金請求処理の計算に使うと両社では説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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