ベリタスソフトウェアは10月8日、同社主催の年次ストレージテクノロジーカンファレンスであるVeritas Vision 2003を開催した。今回のテーマは「STORAGE [re]DEFINED」(ストレージの再定義)。基調講演ではベリタスソフトウェア代表取締役社長の木村裕行氏の挨拶に続き、米Veritas Software会長兼社長兼CEOのGary Bloom氏、およびプロダクトオペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントのMark Bregman氏が壇上に立ち、同社が今年7月に発表したユーティリティコンピューティング戦略を中心に講演を行った。
Bloom氏は、ここ数年経済状況が低迷しているが、このような状況下でも同社が順調なビジネス展開をみせてきたことを主張する。Bloom氏は、ベリタスの2002年度末における収益が15億1000万ドルで25%の成長率を達成していること、2003年度第1四半期における収益が3億9440万ドルで、同社設立以来四半期ベースの収益としては3番目の好成績を上げていることなどをあげ、多くのIT企業がリストラや減収に苦しむ中においても同社のビジネスは順調であることを示した。ベリタスの時価総額は現在144億2000万ドルで、「これはマイクロソフト、オラクル、SAP、コンピュータ・アソシエイツに次ぐ数字だ」(Bloom氏)という。
Bloom氏は日本における成功要因について、同社製品がマルチベンダー環境に対応していることをあげる。「ベリタスの製品は、すべての主要なOSプラットフォーム、アプリケーション、ハードウェアをサポートしている。他社のように特定の環境だけをサポートするソフトウェアでは既存のIT資産を活かすことができないが、われわれの製品はすべての環境をサポートし、さらには他社ツールとの連携にも力を入れることでシェアを伸ばしてきた」(Bloom氏)
左から、米VeritasエグゼクティブバイスプレジデントのMark Bregman氏、同CEOのGary Bloom氏、ベリタス日本法人社長の木村裕行氏 | |
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また同氏は、数多くの業界リーダーと強いパートナーシップを結んでいることも成功要因のひとつだとしている。ベリタスでは今年初めに、国内市場拡大戦略としてパートナー戦略を強化するとしていたが、今回のカンファレンスにあわせて、販売パートナー支援プログラム「VERITAS Partner Program」の開始や、IBM、NEC、日立オープンプラットフォームソリューションズとのLinux関連ビジネスにおいて提携を発表している。
いっぽうのBregman氏は、同社が推進するユーティリティコンピューティングモデルについて説明した。同氏によると、ユーティリティコンピューティングのコアとなるのは、アベイラビリティ、パフォーマンス、そして自動化の3つ。データのバックアップとリカバリを支援するツールで万が一の事故に備え、障害が発生した際には問題を検出、特定し、自動的に修正する。また、障害発生を未然に防ぐプロビジョニング機能を持った自動管理ツールでアベイラビリティとパフォーマンスの向上にもつながるわけだ。これでユーティリティコンピューティングの「水」の部分であるデータを、「ダム」(ストレージ)から「水道の蛇口部分」(各クライアントPC)までスムーズに流す役目を同社のソフトが果たすことになる。
これまでベリタスでは、ストレージ分野を中心にアベイラビリティ、パフォーマンス、自動化機能を提供してきた。今後はそれをサーバ、アプリケーションの分野にも拡大することで、ユーティリティモデルが完成することになる。そのためベリタスでは積極的に買収を進めており、昨年にはi3(アイキューブ)という障害のボトルネックを探し出すソフトウェアを提供していたPrecise Software Solutionsや、OpForceというプロビジョニングソフトを提供していたJareva Technologiesを買収している。これらの製品に加え、近い将来管理ソフトをひとつにまとめてインターフェイスを統合するツール、Veritas CommandCentral Serviceも発表予定だという。
ベリタスによる上記2社の買収をはじめ、ストレージベンダーでは数多くの買収劇が繰り広げられている。今後のM&A計画についてBloom氏は、「われわれは25億ドルのキャッシュを持っているし、業界内には規模は小さくても立派な技術を持った企業が多いので、買収意欲をそそられる。今後もPreciseなどの買収で実現したように、わが社との相乗効果が生まれる企業を買収していきたい」と語った。
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