ターボリナックスは10月2日、クライアント用Linux OSの新版「Turbolinux 10 Desktop(10D)」(開発名Suzuka)を発表した。カーネル 2.6をベースにしており、10月24日より販売を開始する。
Linuxは国内でもサーバ分野での利用が進んでおり、最近では携帯電話などのコンシューマエレクトロニクス分野に採用されるケースも出てきた。しかしデスクトップ分野は90%以上のシェアをWindowsが握っており、現在はマイクロソフトの独壇場だ。
ターボリナックス代表取締役社長兼CEOの矢野広一氏によると、現在国内におけるクライアント用Linuxの市場規模は約7万本という。「彼らはLinuxのヘビーユーザーで、新製品であればRed HatでもTurbolinuxでも必ず買うという層だ」と矢野氏は分析する。
ターボリナックスでは今回の新製品により、クライアント用Linuxの利用を一般企業にも働きかけ、市場拡大を狙う方針だ。
ターボリナックス代表取締役社長兼CEOの矢野広一氏 | |
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10Dの特徴はWindowsとの親和性、日本語対応の強化、価格の安さの3点にある。「もっと身近に使えるLinuxを目指した」とターボリナックス本社事業企画本部プロダクトマネージャの久保和広氏は説明する。
まず、「High Windowsability(Windowsっぽさ)」をテーマに、Windowsとの互換性を重視した。Windowに慣れたユーザーにとって違和感のないよう、画面の設計や操作性はWindowsとほぼ同様の設計になっている。また、マイクロソフトのOfficeと互換性の高いサン・マイクロシステムズのオフィスソフト「StarSuite 7」を同梱し、MS Officeで作られたファイルの読み込みや書き出しができるようにしている。ターボリナックスによると、StarSuite 7を同梱するソフトは国内初という。
また、Windowsと共存して利用できるよう、機能強化も図っている。ターボリナックスの独自調査から、ユーザーの60%は1台のパソコンにWindowsとLinuxを共存させて利用していることが判明したという。そこで同社では、同一PC内のWindowsファイルを読み込めるように機能を強化した。さらにパーティッションツールの「Acronis PartitionExpert 2003製品版」も同梱し、Windowsがプリインストールされたパソコンにも簡単に10Dを導入できるようにしている。
10Dでは日本語対応も強化した。「Linuxでは初めて日本語のフォルダ名やファイル名が使えるようにした」(久保氏)といい、さらにヘルプの日本語化にもこだわっている。「Linuxだからヘルプが英語でも仕方ないという時代は終わった」(久保氏)
製品を手に説明を行うターボリナックス本社事業企画本部プロダクトマネージャの久保和広氏 | |
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さらに低価格化を進めることで、新たなユーザーの取り込みを狙う方針だ。基本機能のみを搭載した「Turbolinux 10 Desktop Basic」は3980円。StarSuiteやジャストシステムの日本語入力ソフト「ATOK X for Linux」などの商用ソフトを同梱した「Turbolinux 10 Desktop」は1万5800円となる。「初めてのユーザーにも抵抗感のないものにした。経営陣からみると厳しい価格だが、Linux信奉者を3、4倍、ひいては10倍にするためにはメーカー努力が必要だと思った」(ターボリナックス代表取締役会長兼CEOの渡邊肇氏)
10Dは開発版のカーネル 2.6.0-test5をベースにしている。同社によると、カーネル 2.6を元にした製品は世界初としている。カーネル 2.6が正式にリリースされれば、アップデート版を配布して対応するという。
ターボリナックスでは初年度に10万本の売上を予定している。矢野氏は10Dの前のバージョンである「Turbolinux 8 Workstation」の年間売上高が約4万本と話しており、売上を従来製品の倍以上にする計画だ。10Dは量販店および同社のオンラインショップにて販売されるほか、10Dをプリインストールした東芝のノートPC「dynabook SS Sシリーズ」が多摩東芝情報機器から販売される予定という。
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