米IBMは米国時間23日、携帯端末から自動車、家電製品に至るあらゆるものに、演算処理能力やインターネットアクセス機能を組み込んだ、パーベイシブコンピューティング機器の市場に参入することを発表した。
ニューヨークのホーソンにある同社の研究施設で行われた記者発表で、IBMはパーベイシブコンピューティングに関する同社の長期的な展望のあらましを描くとともに、小型デバイス上で動作するWebSphereソフトウェアの簡略バージョンのアップデート版を発表した。また同社は、PDAや携帯電話のようなモバイルデバイスを使用する社員の管理を改善する企業向けソフトウェアの開発企業との提携も発表した。
IBMは、同社のWebSphere Everyplace製品をアップデートすることで、モバイルデバイスの遠隔制御を改善し、また既存のビジネスアプリケーションに音声コマンドを追加できるようにしたと説明した。WebSphere Everyplaceは携帯端末上で動作し、ウェブベースのサーバを利用して、情報をダウンロードしたり同期させることができる。また、同製品を使うと、ユーザーがさまざまな種類のワイヤレスネットワークの間をローミングしても、自動的にネットワークコネクションを維持できる。
IBM幹部によれば、同社は全体的に見ると、5年前に表明したパーベイシブコンピューティング戦略を実行する初期段階にあるという。この長期計画の下で、IBMはさまざまなデバイスがネットワーク情報網にアクセスすることを可能にするソフトウェアを開発している。
この一例として、同社は韓国のHyundaiと協力し、音声で動作するナビゲーションシステムを車に搭載する計画だ。これによって、自動車メーカーは、提携パートナーと連携して、路上支援のような新しいサービスを提供できるようになる。また企業は、パーベイシブコンピューティング技術を取り入れることで、モバイル機器を使用する社員の生産性を上げ、経費を節減できる。たとえば、外回りのサービス担当者は、携帯端末で出先から会社の情報ネットワークにアクセスし、予定や顧客データを調べることができる。
提携に関しては、米Palmが23日にWebSphere Micro EditionというIBMのJavaソフトウェアを、自社のハイエンド製品Tungstenに組み込むことを発表した。このための開発者向けツールキットは、現在Palmから入手可能で、同社はTungstenにJavaランタイムソフトウェアを付属させ、今年後半に出荷する予定だ。Palmによれば、このソフトウェアの、ARMプロセッサ向けに最適化したバージョンは、来年初頭にリリースする見込みだという。
また、音声制御に関して、IBMはWebSphere Voiceサーバに標準VoiceXML 2.0のサポートを追加したと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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