米Sun Microsystemsは16日(米国時間)、従業員1人当たりの年間使用料がそれぞれ100ドルという、低価格のソフトウェアスイート製品を2種類発表する。この背景には、企業向けソフトの購入者の予想を覆したいとの同社の思惑がある。
今回発表となる取り組みの1つ(開発コード名:「Orion」、正式名称:「Java Enterprise System」)では、Sunが得意とするサーバ--高性能なデータ処理用コンピュータ上で動作する、様々なソフトウェアを提供する。また、もう1つのプロジェクト(開発コード名:「Mad Hatter」、正式名称:「Java Desktop System」)では、Linux、オフィス向けの統合ソフト、その他の様々なデスクトップPC用プログラムが実行可能な、総合的デスクトップ環境を提供する。
Sunは、ソフトウェアの特定のニッチ分野では強さを発揮しているが、総合力では米Microsoft、米IBM 、米BEA Systemsといったライバル企業に劣る。同社は、今回発表する新たな価格設定および統合サービスで、従来の勢力図を逆転させたい考えだ。
SunでJavaおよびソフトウェアの戦略マーケティング担当シニアディレクターを務めるIngrid Van Den Hoogenによると、これらのデスクトップ/サーバパッケージ製品の、従業員1人当たりの年間使用料は、どちらか片方のみの場合は100ドルで、両方使用する場合は150ドル。両製品とも、一般発売は11月の予定だ。
「Sunはかなり過激な価格設定を行っている」と語るのは、RedMonkのアナリスト、James Governor。同氏は、いずれ多くの企業がこの戦略を採用すると予想している。また、「いま企業の間では、自らソフトを統合する必要がなく、また統合サービスに多額の資金を費やす必要もない、あらかじめ統合されたバンドル製品への関心が高まっている」とし、さらに「(企業は)低価格で、しかも質の高いソリューションに関心を寄せている」と同氏は指摘した。
しかし、Jupiter Mediaのアナリスト、Michael Gartenbergは、Sunがデスクトップコンピューティングの分野でMicrosoftに立ち向かうのは厳しいだろう、と語る。かつてSunは、ネットワークコンピュータやJavaワークステーションでデスクトップコンピュータ市場への参入を試みて失敗したが、Mad Hatterもその二の舞になる可能性が高い、と同氏は指摘する。
「今後ハードとソフトとの相互運用性の問題は、組織にとって阻害要因となる」と同氏は述べ、さらに、(1)大半のアプリケーションはWindows向けに開発されている、(2)Microsoftの文書ファイルフォーマットとの完全な互換性を実現するのは容易ではない、(3)ハードウェアにおいては、他のOSに比べWindowsは遥かに早くサポートされ、またOSの変更には多額のコストがかかる、という3点を指摘した。
Sunが発表するソフトウェアの計画は、ハードウェアメーカーとしてのルーツを持つ同社を、ハード/ソフトを組み合わせた完全なサービスパッケージを提供するベンダーに生まれ変わらせるための取り組みの中核をなすものだ。Sunでは、これらの製品が互いに互換性を確認するテストを行い、また新しいアップデートが四半期ごとにリリースされるとのビジョンを描いている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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