米IBMがLinuxカーネルにコピーしたとされるコードをSCOが開示したのを受け、Linuxの開発者であるLinus TorvaldsとLinuxの支持者たちは、開示コードはオープンソースライセンスの元で数年前にリリースされたものだとしてこれを非難している。
この騒動の発端は、SCOが米ネバダ州ラスベガスで開催中のカンファレンスで米国時間の8月19日に一部参加者に「決定的証拠」を開示したことだった。そして、参加前に守秘義務契約への署名が求められていたにもかかわらず、SCOがプレゼンテーションで使用したスライドをドイツ人ジャーナリストが写真撮影していたのだ。これでLinuxの支持者がそのスライドを詳しく調べられるようになり、元Hewlett-Packard(HP)のオープンソースストラテジストでDebianの開発者としても知られるBruce Perensが非常に不利な分析をオンライン上で公表した。
Perensの主張では、このコードは元々、Unixのコードを開発し、その後それをSCOに売却したAT&Tのものであり、書かれた時期は1973年までさかのぼるという。その後、これはさまざまなライセンスでオープンソースコードとしてリリースされており、Perensによると、SCOの前身であるCalderaさえもがこのコードを特別なライセンスでオープン化しているという。
さらに同氏は、これがBSDライセンスでもリリースされていることに言及した。BSDコードのコピーはオンライン上で自由に配付されており、これにはSCOがコード盗用の証拠だとするデベロッパーのコメントまで含まれている。
「SCOの著作権もしくは業務機密は一切侵害されていない」(Perens)
Linuxを考案したLinus TorvaldsはZDNetオーストラリアのインタビューに電子メールで回答を寄せ、大失敗だとされる今回の主張には驚かなかったという。Torvaldsは、「ほとんどが一般的なコードを集めたものだということは最初から言っていたはずだ」と主張している。
「コードの一部はオリジナルのUnixそのままだった。SCOは、前身であるCalderaがLinuxブームに乗って株式公開で資金を集めた時期に、自分自身でこのコードをリリースしたことを忘れていないはずだ。これでSCOがどれほど長い間ウソをつき続けていたのか分かって興味深い。同社は“古いUnix”ではなくSysVr4コードを問題にしていると何度も言及しておいて、今度はスライドで古いUnixコードを持ちだしている」(Torvalds)
Torvaldsはさらに、「開示されたもう1カ所のコードは、古いUnixのものではなく、どうも“netfilter”のコードのようで、これは明らかにBSDライセンスで自由に利用できるものだ」と加えた。
Perensは、SCOのチームが複製されたコードを探し出してきた苦労には感心するとしながらも、「コードが合法的に複製できる形で開示されているものかどうかチェックしなかった」と語った。
「これがSCOにとって最大の成果だったら情けない。たったこれだけなのか?30年もネット上を流れ、Linuxデベロッパーが合法的に自由に利用できるライセンスでリリースされていた1973年開発の古めかしいコードが証拠だというのか。もしこれが最高の証拠だというのであれば、同社は必ず敗訴する」(Perens)
AT&TがSCOの訴訟と同様の理由で92年にBSDを提訴したときは、Unix System Laboratoriesを原告としたAT&Tが敗訴している、
その判決の主文には、「原告は、Net2もしくはBSD/386に業務機密が組み込まれている“正当な可能性”を証明する十分な証拠を示すことができず、原告は業務機密の流出があったとする主張の理非曲直を正す可能性を立証できなかったと結論付ける。仮差止は一切発効されない」とあった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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