海外アウトソーシングで奪われる米国のIT関連の雇用-米Gartner調査

 調査会社の米Gartnerは29日(米国時間)、米国のIT/ITサービス企業の間では、海外への業務委託が財政的に見て魅力ある選択肢となっており、業務を発展途上国に委託する傾向は、今後一層加速するとの調査結果を発表した。

 同調査によると、将来IT/ITサービス企業の雇用のうち、10件に1件が新興国に流れるという。またGartnerは、社内IT部門の雇用のうち、20件に1件が2004年末までに海外に移転されると予測している。

 Gartnerの調査担当ディレクター、Diane Morelloは声明の中で、「いまや海外への業務委託はサービス向上のための手段であり、同時により多くの優れた人材を獲得する供給源となりつつある」と語った。

 米国では、研究業務の一部をインド、アイルランド、中国といった国々に委託するIT企業が増えている。米国のIT企業にとって、これらの国々に数多く存在する高度に熟練したソフト/ハードウェア技術者と、安い開発コストは大きな魅力だ。

 しかし一方で、このようなIT業務の海外移転は、米国の多くの労働者および政治家の反発を招いている。

 Gartnerは調査報告書の中で、外部委託はコスト削減につながるかもしれないが、その反面、才能ある労働者や知的財産の喪失、組織全体の業績低下を招きかねないことも企業は認識しなければならない、と警告している。

 最近、業務の海外移転計画を発表する企業が相次いでいるが、たとえば米Microsoftでは、この問題についてはすでに検討済みのようだ。同社会長のBill Gatesは28日、「我々は今後も(主要)ソフト開発の大部分はここ(米国)で行う。『Windowsの次期バージョンを5%安く作れるか』を追求しているわけではない」と語った。

 Gartnerは、各米国企業の最高情報責任者(CIO)に対し、サービス管理や事業統合といった分野の有能な人材育成につながるような、十分に練り上げた外部委託戦略を作成するよう提言。しかし同時に、日常業務の一部を海外に移転することも提案している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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